研究課題
本研究では、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病において有用であると期待されているヒト疾患モデルウサギの系統保存、供給のための拠点形成を目標とし、そのために必要となる基盤技術の整備として、ウサギにおける胚凍結保存ならびにその関連技術の開発・確立について検討を行った。胚の凍結保存方法の検討として、凍結保存液への不凍タンパク(AFP)の添加の効果、凍結に用いるデバイス(クライオトップ、セルスリーパー、ストロー)の種類、凍結保存液の種類、これらの組み合わせ等について検討を行った。また、内視鏡を用いた胚移植技術の確立に関する検討も実施した。その結果、凍結保存液にこれまでウサギでよく用いられていたエチレングリコールとDMSO(EDS)よりもエチレングリコールとフィコール(EFS)を主体とした凍結保存液とクライオトップの組み合わせで凍結した場合、融解後の胚発生率が劇的に向上する事を見出した。また、EFSとクライオトップを用いて凍結融解した胚を仮親に移植して産仔が得られることも確認できた。さらに、内視鏡を用いた胚移植の手技についても確立することができた。これまで、手術後に生じる癒着ため、同一個体への繰り返し移植が困難であったが、内視鏡を用いた移植により同一個体に複数回移植を行うことが可能となった。また、内視鏡による胚移植は、低侵襲であることから胚移植手術後のストレス軽減、早期回復など、妊娠率の向上につながることも期待できる。これらについては、今後、検証して行きたい。現在、本研究により確立できた手技をもとに、有用な疾患モデルウサギ系統の凍結胚による保存を進めている。しかし、ウサギでは、性成熟に時間がかかる、胚の準備は高コストになる等が問題点である。過排卵処置の条件検討や体外受精手技の確立など高効率なウサギの胚作成技術の検討、確立が今後の重要課題であると考えられる。
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Theriogenology
巻: 84 ページ: 1172-1175
10.1016/j.theriogenology.2015.06.018. Epub 2015 Jul 2.
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