研究課題/領域番号 |
25430100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
村田 卓也 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 開発研究員 (70305001)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ENU / 点突然変異マウス / β-カテニン / Wnt |
研究概要 |
β-カテニン遺伝子は、発生から生命維持まで多様な生命現象に必須な遺伝子である。申請者は、独立した4系統のβ-カテニン点突然変異マウスを解析し、429番目のシステイン残基がセリンに置換された(C429S)系統から新しい不妊モデルマウスを確立した。β-カテニンタンパク質は、100種類を優に超える相互作用タンパク質が報告されている。不妊モデルの表現型は、C429S変異により、ごく一部のタンパク質との相互作用がうまくいかなくなった可能性が考えられた。 まだマウスレベルの解析が行われていない点突然変異ラインが3系統残っており、点突然変異スクリーニング自体も未完である。本研究では、β-カテニン遺伝子の点突然変異を網羅し尽くし、臓器形成・発がん・肥満・生殖の表現型解析を通じてあたらしい疾患モデルマウスを樹立する。変異マウス系統は、保存凍結精子から復元し、表現型解析する。多数の系統を多様に表現型解析するのは困難なため、まずは予想される表現型である、形態形成異常、がん、生殖に着目する。Wnt/β-カテニンシグナルは、さまざまな生活習慣病のリスクファクターとして、よく知られていることから、高脂肪食下において肥満のパラメーターである体重を経時的に測定する。また、β-カテニン遺伝子近傍のENU変異を次世代シークエンサーにより同定し、高速コンジェニック化の指標として利用する。 本年度は、最も研究の進捗しているC429S変異系統において、次世代シークエンサーを用いてC429S以外の変異の同定を試みた。ENUは、ゲノム全体で数千カ所の点突然変異をもたらすと見積もられている。現在解析中のC429S変異系統はこれらの変異を取り除いたものであるが、元々どのような変異を有していたのかを知ることは多因子疾患モデルを開発する上で非常に重要なパイロット実験となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が体調不良をおこし研究が一時停滞したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の物理的な幅を広げるのではなく、出来るだけ焦点を絞って質的に多角研究を推進することで時間的な遅れをカバーする。C429S変異系統に集中する一方で、他の変異系統は、タンパク質構造予想プログラムや遺伝子データベースを活用することで解析する系統を厳選する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が体調不良をおこし研究が一時停滞したため。 H25年度分の未実施研究をH26実施計画として請求額に合算して計上した。おもに、消耗品として、試薬類、ジェノタイピングプライマー、次世代シークエンサー試薬、マウス高脂質食などの購入に充てる計画である。また、昨年度は体調不良のため参加を見送ったが、海外学会において研究発表および情報収集・研究打ち合わせをおこなうこととした。
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