• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

Wntシグナル抑制分子RNF43のがんへの関与

研究課題

研究課題/領域番号 25430102
研究機関北海道大学

研究代表者

築山 忠維  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20399819)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードWnt / RNF43 / ユビキチン / p53 / エンドサイトーシス / がん / Fzd
研究実績の概要

RNF43は以前より大腸がんの患者において高発現している分子として報告されていたが、最近までそのがん化に関与する分子メカニズムは不明であった。しかし近年、RNF43とそのホモログであるZNRF3がR-spondinの非存在下においてWnt受容体であるfrizzled (Fzd) をユビキチン化することでエンドサイトーシスを引き起こし、細胞表面のFzd発現量を低下させることによりWnt/βcateninシグナルを抑制することが報告された。またRNF43がWntシグナル調節のコアファクターとして機能することに加え、大規模エクソーム解析により特に胆管がんや膵臓がん、大腸がん、胃がんにおいてRNF43の変異が高頻度に検出されたことから、遺伝子変異によるRNF43の機能異常ががん化において重要な役割を果たしていることが推測されていた。
そこで平成26年度に申請者らは、がん患者の持つRNF43のミスセンス変異がWnt/βcateninシグナルのネガティブフィードバックループをポジティブフィードバックループへと変換し、Wnt/βcateninシグナルをR-spondin非依存的に増幅をすることが発がんの一端となっていることを国際学術誌に報告した[Tsukiyama, Mol Cell Biol, (2015), in press]。その報告の中で、申請者らはこれらのミスセンス変異がRNF43の細胞内局在に異常引き起こすことがWntシグナル調節異常の一因となっていること、RNF43はN末端側とC末端側で異なる機能を持つことをが明らかした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度に計画していた、RNF43のミスセンス変異によるがん発症のメカニズムの解明については、平成25年度の研究により解明したRNF43の詳細な機能解析の結果と併せて、国際学術誌に発表を行った[Tsukiyama, Mol Cell Biol, (2015), in press]。
さらに平成26年度以前の研究で計画されていた、RNF43の機能に必須な結合分子の解明についても、複数の結合分子を同定済みであり、現在その解析を行っているところである。また、遺伝子改変マウスの作製についても同様に、現在進行中であるため、研究計画は概ね順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成26年度に申請者らが行った研究報告[Tsukiyama, Mol Cell Biol, (2015), in press]の過程でRNF43の修飾や切断による機能調節の可能性も見出しているが、そのWntシグナル調節に果たす役割は未解明のままである(未発表データ)。
そこで、平成27年度の研究では、RNF43の変異、切断、修飾がWntシグナル調節と細胞のがん化に及ぼす影響の検討を、培養細胞やカエルモデル系を用いて行う。
加えて、以前申請者らが報告したRNF43によるp53の活性調節機構[Shinada, BBRC, (2011) 404:143]へRNF43の変異がどのように影響するかも明らかにし、RNF43の機能異常によるがん化過程をWntシグナル調節、p53の機能制御の両側面から解明する計画である。
さらにRNF43のWntシグナルやp53依存的がん抑制機能に影響を及ぼす変異体を同定し、その変異を持つ遺伝子改変マウス(ノックアウト・ノックインマウス)の作製を行い、RNF43の変異によるがん化過程のより詳細な解明を進めて行く予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成27年3月に購入した物品が平成27年4月に支払いされたため、未使用額が発生した。

次年度使用額の使用計画

平成27年3月に購入した物品は平成27年4月に支払い済みである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular role of RNF43 in canonical and noncanonical Wnt signaling.2015

    • 著者名/発表者名
      Tsukiyama T, Fukui A, Terai S, Fujioka Y, Shinada K, Takahashi H, Yamaguchi TP, Ohba Y, and Hatakeyama S
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MED26 regulates the transcription of snRNA genes through the recruitment of little elongation complex.2015

    • 著者名/発表者名
      Takahashi H, Takigawa I, Watanabe M, Anwar D, Shibata M, Tomomori-Sato C, Sato S, Ranjan A, Seidel CW, Tsukiyama T, Mizushima W, Hayashi M, Ohkawa Y, Conaway JW, Conaway RC, Hatakeyama S
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 6:5941 ページ: 1-15

    • DOI

      10.1038/ncomms6941.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The inflammatory cytokine IL-1β is involved in bladder remodeling after bladder outlet obstruction in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Kanno Y, Mitsui T, Kitta T, Moriya K, Tsukiyama T, Hatakeyama S, Nonomura K
    • 雑誌名

      Neurourology and Urodynamics

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1002/nau.22721

    • 査読あり
  • [学会発表] Missense mutations of RNF43 establish a positive feedback loop of Wnt/βcatenin signaling2015

    • 著者名/発表者名
      Tadasuke Tsukiyama, Akimasa Fukui, Sayuri Terai, Yoichiro Fujioka, Keisuke Shinada, Hidehisa Takahashi, Terry P. Yamaguchi, Yusuke Ohba, and Shigetsugu Hatakeyama
    • 学会等名
      2015「個体レベルでのがん研究支援活動」ワークショップ
    • 発表場所
      琵琶湖ホテル (滋賀県・大津市)
    • 年月日
      2015-02-05 – 2015-02-06
  • [学会発表] RNF43遺伝子のミスセンス変異によるWnt/βcatenin経路のポジティブフィードバックループ形成2014

    • 著者名/発表者名
      築山忠維、福井彰雅、寺井小百合、藤岡容一朗、品田佳佐、Terry P. Yamaguchi、大場雄介、畠山鎮次
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2014-11-27
  • [学会発表] RNF43のミスセンス変異はWnt/βcateninシグナルの正のフィードバックループを形成する2014

    • 著者名/発表者名
      築山忠維、畠山鎮次
    • 学会等名
      第73回日本癌学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2014-09-27
  • [学会発表] RNF43遺伝子のミスセンス変異によるWnt/βcatenin経路のポジティブフィードバックループ形成2014

    • 著者名/発表者名
      築山忠維、福井彰雅、寺井小百合、藤岡容一朗、品田佳佐、大場雄介、畠山鎮次
    • 学会等名
      日本生化学会北海道支部 第51回支部例会
    • 発表場所
      北海道大学百年記念会館 (北海道・札幌市)
    • 年月日
      2014-07-18
  • [備考] 北海道大学 大学院医学研究科 医学専攻 生化学講座 医化学分野 研究業績

    • URL

      http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~d20505/publications/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi