研究課題/領域番号 |
25430108
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
山口 龍二 関西医科大学, 医学部, 研究員 (70646538)
|
研究分担者 |
広田 喜一 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00283606)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アポプトーシス / デオコシグルコース / エンドサイトーシス |
研究概要 |
デオキシグルコースとABT-263の併用で癌細胞特異的に細胞死を誘導する研究をしています。グルコース代謝が進んでいる多くのがん細胞のなかで、デオキシグルコースがどんな分子を通してプロサバイバルなシグナルを、また同時にプロアポプトチックなシグナルを誘導するかを研究しています。そしてそれらのシグナルに酸素レベルはどういう影響を与えるかをみています。その結果以下の事が我々の25年度の研究で解りました: (1)デオキシグルコースとABT-263の併用効果を様々な癌細胞でみると低酸素下でも通常酸素下でもその効果は殆どかわりません。しかし酸素濃度のセンサーであるVHLの遺伝子の発現していない細胞ではデオキシグルコースとABT-263の併用効果は半減します。この理由を検討すると、VHLは酸素レベルセンサーの働きとは別に特異的なmRNAのtranslationにも関与し、そのためVHLの発現はIGF1Rの発現低下につながり、逆にVHLが発現していないときはIGF1Rの発現が上昇しプロサバイバルなシグナルを活性化している事がわかりました。またデオキシグルコースもEGFR,IGF1R, インスリン等の増殖因子受容体のエンドサイトーシスを遅らせ、そのシグナルが長く続きプロサバイバルなシグナルを活性化させている事がわかりました。(2)beta-Cyclodextrin(b-CD)を投入するとエンドサイトーシスが抑制され増殖因子受容体からのシグナルが抑制される事間わかりました。ネズミにb-CDを投与してからインスリンもしくわIGF1を投与しても通常さがるはずの血糖値はさがりませんでした。よってb-CDは動物体内でもプロサバイバルのシグナルが抑制される事がわかりました。(3)b-CDをデオキシグルコースとABT-263に加える事で、細胞死誘導効果が培養細胞で飛躍的に良くなりました。現在動物実験でこの事を証明しています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
デオキシグルコースによって誘導されるプロサバイバルとプロアポプトチックなシグナル二つのうち、前者の解明はほぼ完了しました。この解析によってデオキシグルコースとABT-263にくわえてその効果をいっそう向上させる三つ目の薬(b-CD)も発見しました。この三つの薬を併用することで、非常に効率よく小さい副作用で幅広い癌に効く治療になるとおもいます。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)ヒトの腎がんを移植したネズミをb-CD,デオキシグルコース,ABT-263の三つの薬で治療しています。もう少し幅を広め,沢山な癌タイプにも挑戦しようとおっもています。 (2)デオキシグルコースによって誘導されるアポイプトチックなシグナルの解析がまだ終わっていないので、これに力をいれます。 (3)b-CDによってエンドサイトーシスを一時的に抑制して増殖因子受容体によるプロサバイバルなシグナルを抑制できる事が培養細胞でも動物実験でも証明されました。まだいろいろ応用できると思うのでもう少し実験しようと思っています。
|
次年度の研究費の使用計画 |
前倒し支払い請求額にネズミの値段をいれてありましたが、実験が遅れているのでまだ買っていないネズミがあります。 物品費、論文出版費等にまわします。
|