病因性ミトコンドリアND6及びCOI遺伝子変異を有するため試験管内では低いATP産生しかできないが、生体内では高い増殖性と転移性を示すマウス肺がん由来P29mtB82M細胞の特徴をエネルギー代謝の面から検討した。その結果、解糖系の亢進、乳酸トランスポーターMCT4による乳酸の積極的排出、間質細胞との寄生性がん代謝、低酸素下における高いグルコースの取込み、高い腫瘍血管新生能による血中グルコースの効率的利用が増殖・転移におけるエネルギー(ATP)確保にとって重要であることが示唆された。また、MCT4を抑制すると細胞死が起こることも判明し、mtDNA制御の転移を抑制するための糸口が示唆された。
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