研究課題
研究目的:本研究では、Abcb10ノックアウトマウスを用いて発がん―転移モデルを作製し、PPIXの蓄積と腫瘍化にABCB10の機能不全がどのように関わるかを解明することを目的とする。研究計画:(1)腫瘍細胞と宿主でそれぞれAbcb10の遺伝型を改変できる化学発癌―転移マウスを作製する。(2)(1)の実験から、形成された転移巣の有無、腫瘍細胞の生存率、またPPIXおよびROSの蓄積量がAbcb10の遺伝型に影響されているかどうかを調べる。(3)ヒトABCB10変異体を作製し、ABCB10の機能的変化に加えて、協調するMfn1やFECHの機能や局在にどのような変化を生じるか、それによってPPIXROSの蓄積にどのような影響を与えるかを調べる。(4)(3)において作製したヒトABCB10変異体の腫瘍形成に、転移能を調べる。(5)(1)、(4)で作製したモデルマウスを用いて各種ROS産生カスケードの阻害剤を用いて治療実験を試みる。平成26年度研究成果:平成25~本年度もってAbcb10ノックアウトマウスの発癌実験に取り組んでいるが、当初からバッククロスを計画していたC57/BL6系統では化学発癌による転移を見ることができなかった。このことから、より化学発癌に感受性が高く、高頻度にリンパ節、肺、肝臓および脾臓への転移を呈するFVB/N系統へのバッククロスののち、Abcb10の機能不全―PPIXの蓄積に起因する転移能獲得を解析したいと考えている。
3: やや遅れている
現在FVB/Nへのバッククロスは開始しており、遺伝的背景の均一化には8世代(16か月以上)の期間を要するが、現在7世代まで完了している。また転移形成能の解析にC57/BL6系統で作製した発癌マウス(肝特異的Abcb10欠損マウス)はその寿命期間が短く転移を見ることはできなかった。そのためやや緩和な表現型を示すAbcb10ヘテロ欠損マウスを用いて発がん実験を試みている。
C57/BL6系統を用いた肝がん細胞の樹立は困難であった。一方FVB系統はDMBAとTPAを用いて肝臓、肺、リンパ節への転移能を有する扁平上皮癌を発症することが明らかとなっている。このことからAbcb10の皮膚特異的に欠損するマウス(Abcb10f/-:K14-cre)をFBV/N系統で作製し、皮膚がんモデルマウスを作製する予定である。
発がんに関する研究業績発表を含めた出張費を削減した。
FBV/N系統でAbcb10を皮膚特異的に欠損するマウス(Abcb10f/-:K14-cre)の作製に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件)
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