研究課題
平成27年度研究成果:平成25~本年度をもってAbcb10ノックアウトマウスの発癌実験に取り組んでいる。当初からバッククロスを計画していたC57/BL6系統では、転移形成能の解析にC57/BL6系統で作製した発癌マウス(肝特異的Abcb10欠損マウス)はその寿命期間が短く転移を見ることはできなかった。そのためやや緩和な表現型を示すAbcb10ヘテロ欠損マウスを用いて発がん実験を試みた。肝臓に形成された2ミリ以下の腫瘍数を測定したところ、野生型では中央値5.8(SD±3.6)とヘテロ欠損型では中央値10.1(SD±3.2)とP<0.01、一方2ミリ以上の腫瘍数を測定したところ、野生型では中央値0.9(SD±1.4)とヘテロ欠損型では中央値2.8(SD±3.0)であって、化学発癌に対してはヘテロ欠損型マウスが高感受性である傾向を示したが顕著な差は認めなかった。一方、高頻度に肺へ転移を呈するFVB/N系統乳がんモデルマウス(MMTV/Neu)へのバッククロスののち、Abcb10の機能不全―PPIXの蓄積に起因する転移能獲得を解析する予定であったが、これまでにバッククロスを終えた個体において、腫瘍の発生が産仔の育児後ということから、現時点では腫瘍の発生が見られていない。腫瘍が得られれば、初代培養後に樹立したラインにおいてAbcb10の遺伝子を欠失した細胞と野生型細胞を再移植することで、Abcb10の機能不全―PPIXの蓄積に起因する転移能獲得を解析する予定である。
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Oncotarget
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