研究課題/領域番号 |
25430116
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河村 佳見 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (20505044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ハダカデバネズミ / 細胞老化 / 細胞死 |
研究実績の概要 |
本年度はデバ、マウスおよびヒト線維芽細胞に対して2種類の方法で細胞老化を誘導した。その結果、デバ線維芽細胞では、マウスやヒトと比較して老化マーカーであるSA-β-gal陽性細胞の割合が低く、さらにその際他種ではほとんど見られない細胞死が顕著に亢進するという現象が、両方の方法で共通して見られた。このことから、デバ線維芽細胞における細胞老化誘導時の細胞死は、特定の誘導法のみで見られる現象ではなく、細胞老化刺激が加わった際の普遍的な反応であると考えられる。 さらに、前年度に細胞死を引き起こす候補遺伝子Gene Xを見出していたが、デバ線維芽細胞においてこの遺伝子をshRNAでノックダウンし、これらの細胞老化誘導を行ったところ、細胞死が減弱することが判明した。このことから、候補遺伝子Gene Xが、細胞老化誘導時に生じる細胞死の責任遺伝子であると考えられた。しかし、細胞死が全く起こらなくなるわけではなく、他の遺伝子の関与も考えられたため、Gene Xのファミリータンパクや、発現パターンおよび機能が類似した遺伝子など計4種類の遺伝子についても解析をおこなった。これらの遺伝子を、細胞老化を起こしていないデバ細胞に過剰発現させたところ、増殖の停止および形態の扁平化が見られ、細胞死の上昇が認められた。これら4種の遺伝子もデバ細胞の細胞死に関与していると考えられる。これらの遺伝子群とGene Xは共通の下流遺伝子Gene Yを制御していることから、現在Gene Yの解析を行っている。 また、デバ細胞における細胞老化誘導時の細胞死の増加がin vitroのみではなくin vivoでも起こるのかを解析するために、個体の皮膚に目的遺伝子をエレクトロポレーションにて導入する系を立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハダカデバネズミ線維芽細胞における細胞老化誘導時の細胞死に関わる候補遺伝子を見出し、シグナル経路についても一定の見解を得た。また、in vitro解析系を立ち上げた。
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今後の研究の推進方策 |
細胞老化を誘導した際、ハダカデバネズミ細胞ではどのようなシグナル経路が働いているかを解明するために、候補遺伝子を強制発現したマウスおよびデバ線維芽細胞についてRNA-seqを行い、どのような遺伝子群が変動するかを解析する。また、ライブイメージングにてどのような細胞が細胞死を起こすのかを明らかにする。さらに、デバ細胞に細胞老化を誘導した際、細胞死が起こる現象が、in vitroのみではなくin vivoでも起こるのかを解析するために、個体の皮膚に候補遺伝子をエレクトロポレーションにて導入し、解析する。さらにUVによる老化誘導系を立ち上げる予定である。
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