研究課題
基盤研究(C)
UBR4遺伝子は、UBR-box領域を含む分子量約600 kDaの巨大タンパク質をコードし、ユビキチン系の一つ、N-end rule経路の基質認識酵素であると考えられている。原始的な繊毛虫からヒトまで進化的に保存されているが、その生理機能はよく分かっていない。近年、子宮頸がんの原因であるHPV16のE7がん蛋白と複合体を構成していることが報告され、がん化との関連が示唆された。本研究は、UBR4-E7相互作用の分子機構とその生化学的意義を解析し、がん化メカニズム解明に寄与することを目的とする。今年度は、UBR4上のE7結合部位を明らかにするために、HPV16E7のビオチン化N末ペプチドを用いたUBR4結合アッセイ法の開発を主とした。同時に、E7-flag融合タンパク質を大腸菌内で作成し、抗flag抗体アガロースを用いた結合アッセイも行った。E7蛋白は、UBR-box領域を含むUBR4N末断片に対して、特異的に結合することが分かった。詳細な結合部位の解析を引き続き行っている。HPV16 E7(98-aa)は、培養細胞中でユビキチン系によって分解される短寿命タンパク質であり、E7のN末側CR1領域が、UBR4結合とE7分解の両方にとって重要であることが報告されている。従って、UBR4-E7相互作用によって、E7分解(半減期)が調節されている可能性がある。今年度は、UBR4欠損モデル細胞として、ERT2(変異estrogen receptor)-Cre遺伝子を発現するUBR4flox/floxマウスから、マウス胎児性繊維芽細胞 (MEFs)を分離し、不死化細胞を樹立した。
3: やや遅れている
技術的な理由により、ビオチン化E7ペプチドを用いた結合アッセイの開発が遅れている。そのため、大腸菌由来の組換えE7-flagタンパクを用いた結合アッセイの開発も行った。平成25年度の計画であった、E7結合部位の決定が遅れており、引き続き行っている。一方、平成26年度に行う予定であったUBR4欠損モデル細胞の樹立を平成25年度中に行った。以上のことから、「やや遅れている」と判断した。
引き続き、UBR4上のE7結合部位の解析を行う。それと同時に、UBR4欠損モデル細胞を用い、E7タンパク質の代謝的安定性を解析する。
日本癌学会への参加を予定していたが取りやめたため。タンパク質実験試薬として使用する。
すべて 2013
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