研究課題
腫瘍組織では、大量のグルコース消費や未成熟な血管網により、グルコース飢餓や低酸素等の特殊ながん微小環境が形成されている。本研究では,がん細胞の微小環境ストレス適応機構である小胞体ストレス応答(unfolded protein repose: UPR)に着目し、ミトコンドリア機能調節分子やオートファジー関連因子等を中心にUPR制御因子の探索を行った。さらに、その作用機序の解析や阻害活性を示す低分子化合物の探索を進めた。当該年度は,前年までのオートファジーを制御する脱ユビキチン化酵素の一つをノックダウンすることで,がん細胞(HT1080細胞やヒト悪性神経膠腫細胞株U251等)のグルコール飢餓感受性が増強することを基に、その阻害剤のUPRに対する作用を評価した。その結果、グルコース飢餓選択的にHT-29やHT1080細胞等の細胞死を誘導すること,UPRマーカーであるGRP78やATF4の発現誘導を抑制すること、及び遺伝子発現変動シグナチャー解析等によりミトコンドリア機能を阻害することを見出した。ミトコンドリア機能阻害はUPR抑制機構の一つであることが知られていることから,この阻害剤はミトコンドリア機能阻害を介して,UPR抑制作用を発揮している可能性が示唆された。脱ユビキチン酵素活性とミトコンドリア機能の関係性については、現在解析中である。
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