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2014 年度 実施状況報告書

腫瘍血管新生にシアル酸修飾が果たす役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25430122
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

北爪 しのぶ  独立行政法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 副チームリーダー (80301753)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード血管内皮細胞 / シアル酸 / レクチン / PECAM / 腫瘍内血管新生
研究実績の概要

本申請者らは最近、N型糖鎖の末端に付加しているα2,6シアル酸を欠損したマウス(ST6Gal Iノックアウトマウス)では腫瘍内血管新生がコントロールマウスに比べて著しく減退していることを見出した。この結果を受けて、本研究課題「腫瘍血管新生にシアル酸修飾が果たす役割の解析」では、血管内皮細胞のα2,6-シアル酸修飾が腫瘍内血管形成にどのような影響を与えるのか、血管内皮細胞の増殖や増殖因子に対する反応性にどのような影響を与えるか明らかにし、その変化の背景にある分子メカニズムの詳細を明らかにすることを目的として、研究を行っている。
平成26年度は、α2,6シアル酸欠損下で細胞表面にとどまれずに生存シグナルを送ることの出来なくなった接着分子PECAMの性状解析を行った。まずマウス肺からPECAMを精製して糖鎖解析を行ったところ、PECAM自身にα2,6-シアル酸を持つN-型糖鎖が多く見出された。また、構造的にはレクチン分子であるシグレックとホモロジーが高いことから、PECAMはα2,6-シアル酸を持つ糖鎖に結合するレクチン活性があるのでないか、と予想した。糖鎖をクラスター化させたプローブを用いた結果、α2,6-シアル酸を持つクラスタープローブに特異的にPECAMが結合することを明らかにし、予想通りPECAMのレクチン活性を示すことが出来た(S. Kitazume et al. J. Biol. Chem. (2014) 289, 27606、S. Kitazume et al. Glycobiology (2014) 24, 1260)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

H26年度は、血管内皮細胞の主要な接着分子であるPECAMについて、α2,6-シアル酸を持つ糖鎖に結合するレクチン活性があることを、始めて実験的に示すことが出来、この研究成果はJ. Biol. Chem.に採択された。また、血管内皮細胞におけるシアル酸の役割についての研究が評価され、Glycobiologyにレビューを書いたものが掲載された。

今後の研究の推進方策

H27年度は、α2,6-シアル酸を欠損した血管内皮細胞がアポトーシス刺激に対して脆弱になっている分子機構の一端を明らかにすることが出来れば、これまで得られたデータをまとめて、論文投稿したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

H26年度は一つの成果を出すことが出来た。そこで次年度に、アポトーシスシグナルに関する新規の抗体を複数購入して実験する必要性が出てきたため、抗体購入のために次年度に予算を繰り越したいと考えた。

次年度使用額の使用計画

アポトーシス刺激を与えるための抗体、その下流のシグナルを見るための抗体、を購入したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Interaction of platelet endothelial cell adhesion molecule (PECAM) with α2,6-sialylated glycan regulates its cell surface residency and anti-apoptotic role.2014

    • 著者名/発表者名
      S. Kitazume*, R. Imamaki, A. Kurimoto, K. Ogawa, M. Kato, Y. Yamaguchi, K. Tanaka, H. Ishida, H. Ando, M. Kiso, N. Hashii, N. Kawasaki, and N. Taniguchi
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 289 ページ: 24606-27613

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.563585.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Sweet role of platelet endothelial cell adhesion moleculr (PECAM) in understanding angiogenesis.2014

    • 著者名/発表者名
      S. Kitazume*, R. Imamaki, K. Ogawa, and N. Taniguchi
    • 雑誌名

      Glycobiology

      巻: 24 ページ: 1260-1264

    • DOI

      10.1093/glycob/cwu094.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Interaction of PECAM with α,2,6-sialylated glycan regulates its cell surface residency and anti-apoptotic role2014

    • 著者名/発表者名
      1.S. Kitazume
    • 学会等名
      RIKEN-Max Planck Joint Research Center for Systems Chemical Biology (3rd Annual Symposium)
    • 発表場所
      Kreuth, Germany
    • 年月日
      2014-05-23
    • 招待講演
  • [図書] ST6Gal-I. Handbook of Glycosyltransferases and Related Genes. 2nd Edition.2014

    • 著者名/発表者名
      1.S. Kitazume
    • 総ページ数
      4ページ
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2016-05-27  

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