研究課題
本申請者らは、N-型糖鎖の末端に付加するα2,6-シアル酸を欠損したマウス(ST6Gal I KOマウス)において腫瘍内の血管新生が減退していること、その分子的背景として、接着分子PECAMが細胞表面に停留できずエンドサイトーシスされるために生存シグナルを伝達的亡くなっていることなどを明らかにしてきた。当該年度は、ST6Gal I KOマウスおよびコントロールのWTマウスより単離した血管内皮細胞のアポトーシス感受性を比較検討した。まず、ルイス肺癌細胞培養上清の添加によって、ST6Gal I KO細胞のcaspase3が活性化されることを見出した。抗Fas抗体による刺激によっても同様の結果が得られた。このようなST6Gal I KO細胞のアポトーシス刺激に対する脆弱性がα2,6-シアル酸特異的なレクチン活性を持つPECAMの発現によってレスキューされるかどうか明らかにするため、PECAM-アデノウイルスベクターを作製し、現在その効果を解析中である。また、PECAMはα2,6-シアル酸に対するレクチン活性を持つことを明らかにしたので、この糖鎖をミミックする分子がアンタゴニストとして作用することで抗血管新生阻害効果を持つのでないか、との発想のもとに、化合物ライブラリーを用いてPECAMに結合する化合物のスクリーニングを行い、いくつかの候補化合物を得ることが出来た。今後は、この候補化合物がPECAM-PECAM相互作用を抑制するか否か、PECAMの生存シグナルを遮断する効果を持つか否か、など解析していく予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件)
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