研究課題/領域番号 |
25430126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
山口 英樹 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (10345035)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 浸潤転移 |
研究概要 |
浸潤突起は浸潤性癌細胞により形成されるアクチン繊維に富む細胞膜構造であり、周囲の細胞外基質を局所的に分解することにより癌浸潤・転移を促進する。本研究では、多くの転移癌で高発現するアクチン繊維束化タンパク質であるアクチニン-4の浸潤突起における機能、また正常細胞に普遍的に発現するアイソフォームであるアクチニン-1との機能の違いを明らかにすることを目的とした。 本年度は、浸潤突起を形成するヒト乳癌、メラノーマ、頭頸部癌細胞株を用いて主に浸潤突起におけるアクチニンの局在や機能について分子細胞生物学的な解析を行った。具体的には間接蛍光抗体法やGFP-コンストラクトの発現によりアクチニンアイソフォームの浸潤突起における局在を観察し、浸潤突起に局在する他のアクチン結合タンパク質との局在の比較を行った。機能ドメインを欠失した各種変異体を作成し、浸潤突起への局在や機能に対する影響を検討した。またsiRNAによるアクチニンの発現抑制、発現コンストラクトを用いた過剰発現を行い、浸潤突起形成及びゼラチン分解活性への影響を検討した。その結果、アクチニン-1、アクチニン-4共に浸潤突起に局在し、発現抑制による解析から浸潤突起形成に必要であることが示された。一方過剰発現においては、アクチニン-4のみが浸潤突起形成及びゼラチン分解活性を促進することが明らかになった。以上の結果から、アクチニン-4は浸潤突起形成においてユニークな機能を持ち、これが癌の悪性化に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はアクチニン-4の局在と機能解析のみを行う計画であったが、さらにアクチニン-1との機能比較まで達することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降もさらに浸潤突起形成におけるアクチニンの機能解析を計画通り行い、癌浸潤転移の新たな治療法の開発に向け創薬標的としてのアクチニンの有用性を明らかにしていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
いくつかの物品の購入と納品に遅延が生じたため。 請求した助成金は計画通りに使用し、繰り越し分については購入予定だった物品に使用する。
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