研究課題
骨転移腫瘍の新しい治療法の開発が本研究の目的である。転移性骨腫瘍は疼痛や病的骨折を引き起こすことから、その治療は癌患者のADL(Activity of Daily Living)およびQOL(Quality of Life)向上に重要である。骨への転移は肺癌、乳癌、前立腺癌、肝癌などすべての癌において発生し、本邦では新規に年間5~10万人の癌患者が治療の必要な骨転移を患っている。①治療法の進歩による癌患者生存期間の延長、②高齢化による癌罹患率の上昇、③画像診断機器の発達、などにより今後ますます転移性骨腫瘍症例は増加すると考えられる。転移性骨腫瘍に対しては外科的手術が行われているが、脊椎など解剖学的に手術切除が困難な部位に発生した場合は、疼痛緩和などの対処療法しか手段がない。破骨細胞の増殖を押さえる骨修飾薬が使用されているが、骨転移した腫瘍細胞そのものに対する有効な治療法は確立されていない。我々は臨床検体を用い、蛍光二次元電気泳動法およびPROTOMAPを用いたプロテオーム解析と、DNAマイクロアレイを用いたmiRNA発現解析を実施し、原発腫瘍組織に比べて転移性腫瘍組織において高発現するタンパク質とmiRNAをそれぞれ同定した。特定したタンパク質の機能を阻害する化合物を入手し、骨の腫瘍細胞を用いてin vitroでの阻害実験を行い腫瘍細胞の増殖抑制作用があることを見出した。また、同化合物の腫瘍抑制作用を調べるために阻害剤の投与前後のサンプルを用いてDNAマイクロアレイの実験を施行した。そして、同定したタンパク質が腫瘍細胞から培地中に放出されていることを特異抗体で見出した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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