研究課題
基盤研究(C)
1)ELISA法の確立 定量の標準試料としてヒトFEAT蛋白を精製した。Hisタグ融合FEATは大腸菌で不溶性の封入体を形成した。誘導条件を最適化し非変性条件で一部可溶性のFEATが発現したが、Ni2+およびCo2+レジンに結合しにくく、収量、純度が低かった。封入体を塩酸グアニジンによる変性条件で可溶化し、高純度で十分な収量の蛋白を得た。2)FEATノックアウトマウスの作出と表現型の解析 FEAT+/-マウスES細胞の胚盤胞期胚への注入により、キメラマウスを得て交配したが、FEAT+/-ヘテロマウスは1匹生まれたのみで、不妊であった。ヘテロマウス及びキメラマウスを組織学的に検討した。3)FEATペプチドを用いた抗腫瘍免疫誘導 A)マウス生体での抗FEAT免疫誘導 H-2Kb、 H-2Db適合マウスFEATペプチドを2種類、アジュバントと共にC57BL/6マウスの皮下に2回接種後、B16-F10メラノーマ細胞を皮下注射した。特に2種類のペプチドを混合して接種した際に、腫瘍に炎症反応が誘導された。肺、肝、腎を組織学的に調べ、ペプチドに起因する異常は認められず、血清AST、 ALT、 Creの上昇は認めなかった。 B)ヒト末梢血細胞からの抗FEAT免疫細胞の誘導 HLA-A*2402のヒト末梢血由来の単核球からGM-CSF、IL-4を用いて樹状細胞を培養し、HLA-A*2402適合FEATペプチドをパルスしてLPSで成熟させた。樹状細胞上で同じドナーの末梢血単核球を培養してCTLを誘導した。HLA-A*2402でクラスI MHC発現陽性、陰性およびHLA-A*2402陰性の腫瘍に対するCTLの細胞傷害性を調べた。4)相互作用タンパクの同定 FEATと共免疫沈降する13蛋白のcDNAをクローニングし、GST融合蛋白として大腸菌に発現し、Glutathioneレジンを用いて精製した。
3: やや遅れている
1)ELISAアッセイ系構築の標準試料としてのヒトFEATタンパクの精製が、予想よりも技術的に困難であった。2)FEAT+/-マウスが一匹しか生まれず、不妊であった。3)アジュバントとペプチドでマウスに誘導された免疫反応の程度が、予想より低かった。4)エジプト人留学生(女性)は、子供(2歳)が感冒、ヘルペス皮膚炎、口内炎で発熱することが多く、看病のために、フルタイムで研究に従事することが出来なかった。エジプト人の日本のウイルスに対する感受性が高いことは、計画段階では想定していなかった。
1)2種類の抗ヒトFEAT抗体を用いたサンドイッチ法によりFEATを定量するELISAキットを業者に受託して作製する。さらに、九州大学病院 先端分子・細胞治療科において行われた臨床試験で凍結保存した健常人と癌患者の血漿を測定し、FEATの濃度差を検討する。2)コンディショナルノックアウトマウスの作出を開始する。3)HLA-A2402の癌細胞に対して傷害活性を有するCTLのラインを樹立し、そのTCR cDNAをクローニングする。4)精製したHisタグ融合FEATと精製したGST融合タンパクの結合を調べることで、FEATと直接結合するタンパクを見出し、FEAT酵素活性の基質の候補とする。その後、酵素反応のアッセイ系を確立し、化合物ライブラリーをスクリーニングして、FEAT阻害剤を見出す。
研究進展の軽度の遅れ次年度に研究進展を加速させ、当該年度分を使用する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)
Cancer Sci.
巻: 105 ページ: 402-408
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http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/labo/mcg/section.html
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003373/research.html