1)ELISA法による血中FEAT濃度の測定 血液中のFEATタンパクを定量することで、癌化を早期発見することを目標としている。免疫沈降法で、癌患者の血漿にFEATタンパクが存在し、自作のポリクローナル抗体により捕捉可能であることがわかった。そこでサンドイッチ法により血漿中のFEATを検出するELISAキットを、IBL社に受託して作製した。九州大学病院 先端分子・細胞治療科において行われた臨床試験で凍結保存した癌患者の血漿を測定した。検討症例数は、健常人8例と癌患者134例、うち非小細胞肺癌17例、小細胞肺癌5例、乳癌4例、食道癌14例、胃癌22例、大腸癌43例、膵癌14例、胆嚢癌1例、胆管癌2例、卵巣癌4例、子宮体癌2例、子宮頸癌4例、悪性中皮腫4例、咽喉頭癌2例、尿管癌2例、悪性黒色腫2例、原発不明癌2例である。血中FEAT濃度は癌患者において、健常人に比べ有意に上昇していた。癌種別のノンパラメトリック多重比較では、Kruskal-Wallis検定で有意差があり、Steel検定で卵巣癌と非小細胞肺癌に健常人との有意差を認めた。
2)FEATノックアウトES細胞の表現型の解析 FEATノックアウト(Mettl13-/-)マウスES細胞に胚様体を形成させ、レチノイン酸で神経系へ分化誘導してメタボローム解析を行い、神経分化時に複数の解糖系酵素の異常を見出した。細胞破砕物の酵素活性の検討、細胞質内酵素量のウェスタンブロッティングによる比較、酵素の細胞内分布の蛍光免疫染色による検討を行った。
3)相互作用タンパクの同定 HeLa細胞からFEATと共免疫沈降するタンパクを見出し、15個のタンパクのcDNAをクローニングし、GST融合タンパクとして大腸菌に発現、精製した。精製したHisタグ融合FEATとの結合を調べ、4個のタンパクがFEATと直接結合することがわかった。
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