研究課題/領域番号 |
25430136
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
廣瀬 善信 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20293574)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸癌 / BRAF / EGFR / HER2 / 病理解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、進行大腸癌に対する分子標的薬適応における病理学的評価の可能性を追求するため、さらには分子標的薬の「個別化治療提案」の可能性を模索するために、1)BRAF遺伝子変異の評価法を確立する、2)HER2過剰発現、EGFR遺伝子増幅等の因子も評価する、ことを目的としている。 本年度における具体的計画としては、①BRAFの同定法確立→症例蓄積、②EGFR、HER2などの免疫染色・評価法確立→症例蓄積する、とした。まずBRAF遺伝子変異に関しての実施状況としては、パラフィン切片からのDNA抽出により直接シークエンス法を行った結果、4.6%にBRAFの変異を確認した。それらの変異症例5例について、BRAF(V600E)抗体を用いた免疫染色による検討を行った結果、現在のところその5例いずれもが一部弱陽性の染色結果(強陽性例なし)に留まっている。今後も染色条件を含めた検討を続けていく予定としている。 また、EGFR、HER2に関しては、100例弱の症例について免疫染色を施行した。EGFR染色の結果、弱陽性以上の所見が74%の症例に確認された。その染色態度を検討すると、癌巣内部の一部~全体に染まるもの、癌の先進部のみに染まるもの、の2つのパターンに分けられた。現在、それらのパターンと予後等との関連につき精査を進めている状況である。HER2の染色結果については、HER3などの他因子との比較も加味しつつ、現在解析中の段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間中に所属組織を異動した関係で、研究環境の立ち上げ(施設・設備の補充、研究助手の教育等)に時間を要し、スタート段階から立ち遅れが目立った。現在は研究環境立ち上げは完了したが、知見集積→成果発表がまだ間に合っていない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は期間延長のうえ、状況に応じて計画や方略を微調整しながら、成果発表につなげていく予定である。まず、EGFR、HER2等の免疫染色結果については、他因子との関連にも注目しながら、引き続きデータの比較解析を行っていく。また、本実験で予定していたBRAFの遺伝子変異を免疫組織化学で評価する実験成果が、他施設から次々と(皮膚癌、大腸癌、甲状腺癌などで)発表されている。したがって、BRAFについては免疫組織化学的評価とPCRによる塩基配列同定の両者を同時進行していく方向性とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な抗体等に利用するには額が不足していたため、次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫染色関連の消耗品に使用する。
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