研究課題
前年度では、miR-199aに対するLNAプローブを新規作製(外注)することによって、染色性に問題があったin situ hybridization(ISH)に改善がみられた。そこで、肺原発の分化型扁平上皮癌におけるmiR-199aの発現を解析したところ、癌真珠の部分にmiR-199aの強い発現がみられた。一方で、同部はmiR-199aの標的遺伝子であるBrm(Sakurai et.al. Cancer Research, 2011)の発現が低下しており、miRNAとその標的遺伝子の逆相関性が観察された。我々は、miR-200cが、NF-κBの制御下にあることや乳癌の進展に関与することを見出しつつある。慢性炎症とmicroRNAの関連が示唆されるため、今年度は、解析対象をmiR-200cとした。さらにEpCAMの発現が高い乳癌細胞では、miR-200cの発現が高いことも明らかにしている(投稿準備中)。そこで藤田保健衛生大学病院にて外科的切除を行った乳癌組織(ホルマリン固定パラフィン包埋標本)を用いて、EpCAMの免疫染色とmiR-200cのISHを行い、両者の発現を比較した。EpCAMの免疫染色は比較的容易ではあったが、同一標本中に染色される癌とされない癌が混在しており、その意義は不明であった。miR-200cの発現は、EpCAMの発現と概ね相関しているといえるが、今後は症例数を増やしてさらに検討する必要がある。また、miR-199aと比較して、miR-200cの発現シグナルは極めて弱いため、その検出感度を向上させることが必要と考えられる。我々のISHは、生体内におけるmicroRNAの発現様式を解析するのに有用であるといえるが、microRNAの種類、発現量、検体の状態によって染色性が落ちることがあり、そのトラブルシューティングに大きく時間を割いた。解析対象のmicroRNA毎に、プローブのLNA修飾部位やhybridization、washの条件(温度、時間、バッファー組成など)を細かく検討する必要があると思われる。
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Acta Histochem Cytochem.
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