研究課題
最終年度の平成27年度は、STAT5によるC/EBPβの発現制御機構の解明と、マウスCMLモデルにおけるC/EBPβを介したIFNαの効果を明らかにするため研究を行った。STAT5による制御機構については、京都府立医科大学ゲノム医科学教室との共同研究によって、クロマチン免疫沈降産物の次世代シーケンス解析(ChIP-seq)を行った。これまで、C/EBPβ遺伝子の上流と下流の近位領域では、STAT5が結合し転写活性化を行なう領域は同定できなかった。今回のChIP-seqによって、C/EBPβ遺伝子の下流約75kbの領域に、BCR-ABLシグナル依存性にSTAT5が結合する部位を新たに同定した。この領域は、種間で高度に保存されており、STAT5の転写活性化がより強く起こるとされる、2つのSTAT5結合モチーフがタンデムに並んでいる部位であることが分かった。現在この領域のエンハンサー活性について、より詳細に検討を行っている。これまでの検討によって、C/EBPβの発現を効果的に誘導することができるサイトカインとしてIFNαを同定していたことから、CMLマウスへのIFNαの投与実験を行った。C/EBPPβを介したIFNαの効果を明らかにするために、野生型(WT)及びC/EBPβノックアウト(KO)マウスの骨髄細胞にレトロウイルスにてBCR-ABLを導入して得られた白血病細胞を、1次レシピエントに移植することでCMLモデルを作成した。IFNαの産生を体内で誘導するPolyI:Cをこれらマウスに投与し、1次レシピエントにおける白血病幹細胞の頻度と、2次移植による白血病幹細胞活性の評価を行った。IFNαはCML白血病幹細胞を有意に減少させ、この効果の発現にはC/EBPβを介した経路が重要であることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
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http://dtm.kuhp.kyoto-u.ac.jp