研究課題/領域番号 |
25430153
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
伊地知 暢広 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80380624)
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研究分担者 |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90258418)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がん遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
癌幹細胞(CSCs:Cancer Stem Cells)は癌細胞集団内において、高い腫瘍形成・転移能を有し、抗癌剤や放射線治療に対する高い抵抗性を示す少数の細胞集団であり、癌の難治性や再発と密接に関係しているとの考えが実証されつつある。本研究は、独自開発したアデノウイルスベクター技術により、がん幹細胞標的・同定と革新的ながん治療技術開発を目的としている。平成26年度は主に、特異的内因性マーカーを利用したがん幹細胞分画の単離と、それらのがん幹細胞としての性質を検証した。 1)CD133遺伝子プロモーター制御下にCre酵素を発現するアデノウイルスと、Cre酵素依存的にEGFPを発現するアデノウイルスとの共感染により、強いEGFP発現の観察されたプロモーター2種を中心に、X01GBSグリオブラストーマ細胞株におけるSphereアッセイを行った。その結果、他のプロモーターと比較してSphere形成能の上昇傾向が観察された。一方で、バルク集団を用いた解析であったことから、FACS解析を加えた、より詳細な検証系の構築が必要と考えられた。 2)上記細胞を、細胞表面CD133抗体及びEGFPシグナルの両マーカーを用いたFACS解析により、共陽性分画とその他分画におけるSphere形成能を検討した結果、有意な差は観察されなかった。これらの結果から、各プロモーターによるCD133の内在性発現とSpere形成能との間に明確な関連が見られないことが明らかとなったものの、新たに構築した検証系を用いることで、細胞表面CD133発現はがん幹細胞マーカーとしての有用性が再確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、CD133の各種プロモーターと、がん幹細胞様性質との関連について、バルク集団でのSphereアッセイによる検証を行った。さらに、CD133表面抗原発現とを組み合わせた詳細な解析が必要と考えれられ、FACS解析を組み合わせた検証系の構築を行い、より詳細な機能検証を行うことができた。これら構築した検証系については、今後の新たなマーカー探索への活用が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
癌幹細胞特異的内因性分子マーカーのプロモーター反応性新規がん治療アデノウイルスシステムの開発と治療効果検証 1)前年度までに構築したアデノウイルスシステム及び機能検証系を活用し、新たながん幹細胞特異的内因性分子マーカーの探索及びその機能的検証を行う。 2)癌幹細胞特異的内因性分子マーカーのプロモーターを、新規がん治療アデノウイルスベクターシステムに導入し、in vitro 及びin vivoにおける癌幹細胞特異的な殺傷効果を検討することで、臨床応用へ向けた治療効果・安全性の基礎データを集積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、より詳細ながん幹細胞様性質検証系を構築する必要が生じたため、新たながん幹細胞特異的内因性分子マーカーの探索と、新規ウイルスベクターシステム構築を次年度に行うこととした。これら実験に必要な消耗品等の購入額が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、これまでに構築したより詳細な検証系を活用し、新たながん幹細胞特異的内因性マーカーの探索と新たなウイルスベクターシステム構築について、次年度使用額を用いて推進する。
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