研究実績の概要 |
食道癌細胞にトランスポゾンを導入することで、抗癌剤耐性遺伝子を増幅もしくは、減弱させ、抗癌剤暴露環境下で培養し、作成した抗癌剤耐性株のDNA解析を行うことで、耐性遺伝子を特定することが可能となる。 食道癌細胞株TE4,5,9,15について、Transposon tagged cellを樹立した。樹立したtransposon tagged cellを用いて、各種薬剤を添加もしくは放射線照射を施行した。コロニー形成を生じた場合、薬剤耐性に関与する遺伝子を過剰発現もしくは低発現している細胞株と考えられる。TE4,15についてシスプラチン耐性株および放射線耐性株を獲得した。シスプラチン耐性遺伝子は37種類同定し、報告した(Tsutsui M, Int J Oncol. 2015)。シスプラチン耐性遺伝子の1つJAK2低発現株のJAK2発現低下はReal-time quantitative PCRで確認し、実際に薬剤(シスプラチン)耐性を確認した。JAK2はJAK2/STAT3シグナル経路によりアポトーシスを誘導する。シスプラチン暴露後のアポトーシスは有意に抑制されていた。 放射線耐性遺伝子は10遺伝子を同定した。放射線耐性遺伝子株の1つMT-CO1低発現株の発現低下はReal-time quantitative PCRで確認し、放射線耐性を確認した。放射線耐性遺伝子のMT-COX1はアポトーシスを誘導すると報告されている。放射線照射後のcaspase-3活性はMT-CO1低発現株で有意に低値であり、MT-CO1低発現株はアポトーシスが阻害されていることにより、放射線耐性を獲得していた。 このスjavascript:onTransientSave();クリーニングシステムが実際に機能していることが証明され、シスプラチン、放射線耐性の候補遺伝子が同定された。
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