抗がん剤(Pirarubicin)を生体吸収性ポリマーPLGAナノ粒子に封入した粒子を作製した。次に、ヒト脂肪由来幹細胞にこのナノ粒子を取り込ませた細胞複合体を合成した。ヒト膵癌細胞株(KP1N)とこの抗がん剤ナノ粒子抱合脂肪幹細胞との共培養実験では、抗がん剤ナノ粒子を多く抱合した脂肪幹細胞で膵癌細胞の遊走能や増殖能が抑制され、また、アポトーシスも誘導されるという実験結果を得た。今後は、免疫不全マウスの背部にヒト膵癌細胞を移植した担癌マウスに抗がん剤ナノ粒子抱合脂肪幹細胞を静脈内投与し、抗がん剤ナノ粒子単独投与群や脂肪幹細胞単独投与群に比較しながら腫瘍の発育の程度を経時的に観察する予定である。
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