研究課題/領域番号 |
25430162
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
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研究分担者 |
中村 秀明 崇城大学, 薬学部, 助教 (30435151)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリー / PDT / 亜鉛プロトポルフィリン / Tumor imaging |
研究概要 |
本年度の研究は「研究実施計画」に基づき、各種ポリマーを用い、亜鉛プロトポルフィリン(ZnPP)のミセルを合成し、その物理化学的な性質の同定を行った。また、ミセルを用いてin vitro細胞毒性/PDT治療効果と予備的なin vivo imagingの検討を行った。期間中に以下のことが明らかとなった。 1. ヒアルロン酸(平均分子量3000)を用いて合成したヒアルロン酸-ZnPP (HA-ZnPP)は水溶液中に平均サイズ229nmのミセルを形成し、ほぼ100%の蛍光quenchingを示した。In vitroにおいて、HA-ZnPPのhigh loading (6%)とlow loading (3%)は細胞uptakeに著名な差が無かったが、low loadingのは強い細胞毒性(free ZnPPとほぼ同様)を示した。 2. スチレンマレイン酸コポリマー(SMA)を用いて合成したSMA-ZnPPはDLSで均一な分布が見られなかったが、GPCで分子量約67kDaの一本のpeakを検出し、さらにアルブミン存在下でそれと結合し分子量約230KDaの高分子になり、生体内でアルブミン結合して挙動することが考えられた。In vivo imagingで24hまで腫瘍の集積が見られた。異なるloading (3%, 6%, 12%)を比較し、3%のSMA-ZnPPはより選択的な腫瘍選択的分布と強い細胞毒性を示した。 3. ヒドラゾン結合を持つ腫瘍環境(弱酸性)応答性HPMA-hdy-ZnPPを作製し、これまでのHPMA-ZnPPと比較し、強い細胞毒性を示した(IC50=8ug/ml in Hela cell)。In vivo imagingにおいても腫瘍集積が見られ、光照射によりさらに強い細胞毒性/PDT治療効果(IC50<1ug/ml)を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)高い腫瘍標的性を持つ各種ZnPPミセルの作製が確立できた。 2)In vitro, in vivoにおいて、各種ZnPPミセルはloadingの低いものが相対的に強い細胞毒性と腫瘍集積性を示したことを見出し、今後の研究に適するZnPPミセルを選出した(3% HA-ZnPP, 3% SMZ-ZnPPと腫瘍環境応答性HPMA-hdy-ZnPP)。 3)ミセルの高分子素材について、課題申請当初計画したのは各種HPMAを用いたが、その上によく使われているbiocompatible polymerであるSMAとヒアルロン酸も用いて検討した。ミセル形成の目的が変わってない。 ほぼ計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
以上の研究実績に基づき、この課題について今後以下のことを検討する。 1. 各種ZnPPミセルの細胞内取込み、それと細胞毒性の相関性及び細胞内取込みの改善法について検討する。 2. 各種ZnPPミセルのin vitro PDT効果を検討し、さらにその効果において活性酸素の産生、アポトーシス等の参与を検討する。 3. 薬物動態:ddYマウスS180肉腫皮下移植モデルを用い、各種ZnPPミセルを経静脈注射後経時的に血中または腫瘍および正常臓器・組織中の薬物量を測定する。測定はDMSO抽出、HPLCまたは蛍光分光光度計を用いて測定する。状況により、一部の実験で腫瘍組織をホルマリン固定し、パラフィン切片を作り、共焦点顕微鏡によりZnPPミセルの腫瘍内分布、細胞内取込みの経時変化を観察する。。 4. 腫瘍のイメージング:1) 腫瘍イメージング能力の評価:In vivoイメージング装置を用い、上記の腫瘍モデルとcolon26皮下移植がんモデル、DMBA誘発乳癌モデル、AOM/DSS化学誘発マウス大腸がんモデルにおいて、各種ZnPPミセルによるイメージングの能力を検討する。2) 微小腫瘍結節の検出と治療の可能性:colon26の肺転移モデルにおいて、In vivoイメージング装置を用い、腫瘍の転移形成(微小癌)を確認する。さらにZnPPミセルによる微小癌の検出の可能性を検討する。
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