研究実績の概要 |
本年度の研究は、「研究実施計画」に基づき、各種ZnPPの高分子ミセル(SMA-ZnPP, HPMA-ZnPP, HA-ZnPP)を用い、その抗腫瘍効果及びPDT効果を中心にを検討を行った。期間中に以下のことが明らかとなった。 1、SMA-ZnPPは体内動態・腫瘍集積性が比較的に劣っているが、HO-1の阻害活性が高く(HO-1の発現はほぼ影響しない)、PDT効果を示す一方、単独の抗腫瘍効果が得られる。 2、HA-ZnPPは、CD44発現の高い腫瘍細胞における細胞内取込みがCD44の低い細胞より高く、その結果、腫瘍細胞に対し強い細胞毒性を示し、即ち、CD44依存的な取り込み・細胞毒性が見られた。また、HA-ZnPP単独(光照射なし)でも顕著な抗腫瘍活性(in vivoとin vitro)を示し、腫瘍細胞に高発現するヒアルロニダーゼなどによるミセルの崩壊とZnPPの放出が示唆されている。 3、PDT治療と腫瘍イメージングに関して、高い腫瘍集積性をもつHPMA-ZnPPを中心に検討した。AOM/DSS誘発マウス大腸がんモデルにおいて、in vivoイメージングで大腸の腫瘍ノージュルの薬剤の集積を確認し、光ファイバーにより腸内照射により、顕著な腫瘍ノージュルの縮小と数の減少が認められた。 4、腫瘍の酸性環境で切断できるHPMA-hyd-ZnPPの合成法が確立し、その作用の評価は現在も続いている。
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