PDI(Protein Disufide Isomerase)の阻害をすると考えられた新規化合物であったが、その後の追加実験で再現性が確認できなかった。しかしながら1)正常細胞にはほとんど殺細胞効果を認めず、卵巣癌細胞を中心とした多種多様ながん細胞株に低濃度で殺細胞効果を示すこと、2)その殺細胞効果は活性酸素発生を介して誘導されること、3)化合物の結合は活性酸素発生ドメインであるProtein1(仮称)であること、4)治療困難な卵巣癌腹膜播種モデルのマウスに対して治療効果を示したことより、新たな治療薬の候補となりうると考え研究を持続している。またこの細胞死はCaspase1阻害薬でも阻害されるpyroptosisであることもわかり、新たな細胞死を誘導する化合物として期待される。今後はこの細胞死のメカニズムを解明し同時に動物実験でも効果を示すがん種を検討する方針である。
|