研究実績の概要 |
グリオーマ患者腫瘍組織より幹細胞培地(human EGF, FGF, LIF+B-27)にて樹立したがん性幹細胞株3種類に特異的に発現する遺伝子をDNA Gene Chip(human Genome U133A 2.0 Array, Affimetrix)を用いて14種類同定した。対照群は、同一腫瘍より血清培地で樹立した細胞株を使用している。同定された14個の遺伝子群は、すべて発現比が10倍以上亢進していた。これらのうちタンパク質の局在が細胞外であり、NCIのthe Repository of Molecular Brain Neoplasia Data (REMBRANDT) データベース検索にて予後因子となるものを選別した結果、10個の遺伝子に絞り込んだ。この中でYKL-40を含む3種類の遺伝子に関してsiRNAまたはshRNAを用いてこれらの遺伝子の幹細胞の生物活性に対する影響を評価した。細胞増殖に関しては、YKL-40のshRNA処理により悪性グリオーマ幹細胞の増殖が抑制された。今年度は、ヒト末梢血単核細胞にて免疫系を構築したhumanized (ヒト化)NOG-IL-4 Tgマウスを利用してヒト抗体の作製に取り組んだ。YKL-40組換えタンパクは、PCRクローニングしたcDNAを含む発現ベクターを作製し、293細胞発現系を用いて作製した。YKL-40タンパクにて ヒト化NOG-IL-4 Tgマウスを免疫し、抗体価の上昇を確認後、YKL-40タンパク特異的なヒト抗体を産生するB細胞の同定・分離を行った。1個のB細胞から直接抗体遺伝子をクローニングする技術を利用して抗YKL-40抗体遺伝子のクローンを数個取得することに成功した。平成27年度は、ヒト抗YKL-40モノクローナル抗体の機能解析を行う予定である。
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