研究課題
15q11-q13領域はゲノム刷り込み遺伝子がクラスターを形成して存在している領域であり,その刷り込み遺伝子の発現異常によりプラダーウィリ症候群やアンジェルマン症候群を発症する。また,15q11-q13領域の重複は自閉症患者や統合失調症患者で数多く報告されている。申請者は,これまでに15q11-q13領域における精神発達障害の発症機序の解明に取り組み,15q11-q13領域の遺伝子発現制御には核内における遺伝子の配置が重要な意味を持っていることを見出してきた。近年,細胞核内では転写マシナリーが活性化している領域と不活性化している領域とが存在し,遺伝子が適切な場所に配置されることで,発現が制御されることが明らかになっている。しかしながら実際にどのような分子が染色体ゲノムの核内配置や相互作用に関わり,遺伝子発現を制御しているのか,明らかにされていない。そこで,本研究ではヒト染色体工学技術やshRNAライブラリーを用いたスクリーニングにより,15q11-q13領域におけるクロマチン動態を司る分子の同定とその分子基盤を明らかにしようと考えた。最終年度は,これまでに明らかにしてきたPWS-IC領域の欠失およびSNORD116領域の欠失により生じるNDN, MAGEL2遺伝子の不活性化がNDN, MAGEL2遺伝子領域の核内配置に依存することを見出した。また,メチル化されているPWS-IC領域の欠失は,周囲のクロマチン構造へ大きく影響を与えることを見出し,その制御分子の一つがメチル化CpG結合タンパク質であるMeCP2であることを明らかにした。今後,さらに15q11-q13領域の核内ダイナミクスを司る分子を同定することで,ゲノム全体を制御する一般則を明らかにしたい。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Frontiers in Psychiatry
巻: 7 ページ: -
10.3389/fpsyt.2016.00002
Plos Genetics
巻: 12 ページ: -
10.1371/journal.pgen.1005802
http://chromosome.w3.kanazawa-u.ac.jp/horike/index.html