昨年度、全塩基配列を決定したRhizobium sp. KAW12 ゲノムは3つの複製単位(染色体、pRkaw12a、 pRkaw12b)で構成されている。RASTアノテーションサーバーを用い、ゲノム上の遺伝子領域解析、遺伝子機能推定、近縁菌との遺伝子構成比較を行った。構造RNA遺伝子については、昨年度に同定された染色体上の63遺伝子に加え、pRkaw12aにtRNA-Val(TAC)が見つかった。さらにpRkaw12bにアンチコドン配列が予測できないtRNA遺伝子様の配列が見つかった。このtRNA遺伝子様配列に一致するtRNA遺伝子は、他のαプロテオバクテリアゲノムにみつからない。タンパク質コード遺伝子は合計7703であり、MGAプログラムの結果と比べて150遺伝子ほど多く予測されている。染色体、pRkaw12a、 pRkaw12bにはそれぞれ4828、2331、544が予測された。そのうち3335、1767、337には、遺伝子産物の機能が推定されるアノテーションが付加された。また、SEEDによる機能分類ではそれぞれ2086 (43%)、1026 (44%)、175 (32%)が26の subsystemのいずれかに分類された。近縁の根粒菌Rhizobium leguminosarum bv. viciae 3841ゲノムの機能分類構成と比較すると、窒素代謝系では、窒素固定関連遺伝子群(nif)と亜酸化窒素還元酵素遺伝子(nosZ)を持たないものの、脱窒素関連遺伝子群の大部分を持つことから、KAW12は窒素循環に部分的に関与することが予想された。植物との相互作用関連遺伝子群としては、III型分泌系(pRkaw12b: 9遺伝子)IV型分泌系(pRkaw12a: 12遺伝子、pRkaw12b: 10遺伝子)がみつかった。これらの遺伝子クラスターは植物病原菌、根粒菌(Agrobacterium radiobacter K84、Rhizobium etli CFN 42、Rhizobium leguminosarum bv. viciae VF39)のものに高い類似を示した。
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