研究課題/領域番号 |
25430176
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
高木 善弘 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (10399561)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオミネラリゼーション / 比較トランスクリプトーム解析 |
研究概要 |
深海熱水活動域に生息する巻貝、スケーリーフットは、その貝殻および鱗状組織が硫化鉄結晶により覆われた形態を有する現生で唯一の生物である。この新奇なバイオミネラリゼーションを制御する遺伝子を明らかにすることを目的とする。申請者らは、研究アプローチとして比較対象生物となる硫化鉄では覆われていないスケーリーフットとの比較トランスクリプトーム解析を実施していく。本生物におけるゲノム情報は皆無であるため、鰓、外套、鱗縁辺、腹足、バクテリアサイト、頭部の6組織についてRNA-seq解析を行う。本解析を実施するにあたり、抽出RNAの保存性、mRNAのエンリッチ、シーケンスライブラリー作成について事前検討し、最適化を計った。スケーリーフットのサンプル採取によるRNA破壊を極力防ぐために、生息場所である深海熱水噴出域での現場固定を試みた。採取した固定個体の各組織(鰓、外套、鱗縁辺、腹足、バクテリアサイト)から抽出した全RNAは、rRNA破壊が殆ど確認されなかった。続いて、rRNA特異的除去方法によるmRNAのエンリッチについて検討した結果、RNA-seq解析によるシーケンスリードの30%程度に押さえることができた。さらに、鱗縁辺とバクテリアサイトについて小規模なRNA-seq解析を行った結果、個体間での良好なデーター再現性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スケーリーフットのような前例のない非モデル生物でのトランスクリプトーム解析を成功させるためには、いかに未破棄状態でmRNAが調製できるかが最終的なデーターの解釈において重要であると考える。したがって、事前検討としてサンプル採取方法、RNA-seqライブラリー作成の最適化を行った。今後、スケーリーフットの各組織からのシーケンスデーターを計画的に取得できる予定であり、研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、スケーリーフットの6組織(鰓、外套、鱗縁辺、腹足、バクテリアサイト)から各々2,000万シーケンスリード以上、4Gb以上のシーケンスの解読を目標とする。RNA-Seq 解析で得たシーケンスデーターからの遺伝子配列の構築と発現量の推定を行い、硫化鉄形成に対応し発現量が変動する“バイオミネラリゼーション関連遺伝子の特定”を行う。これら候補遺伝子の発現量変動について、定量 RT-PCRおよび二次元 ディファレンス電気泳動法を用いて転写および翻訳レベルで検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
シーケンシング試薬について計画よりも使用量を多少、軽減できたため。 次年度のシーケンシング試薬購入に当てる予定である。
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