研究課題/領域番号 |
25440012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
森田 鉄兵 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (10444366)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小分子RNA / 転写後制御 / Hfq / 大腸菌 |
研究概要 |
本課題研究は、申請者らがこれまでに行ってきた研究成果を元にして、大腸菌における機能性小分子RNA(sRNA)の機能構造の全容を明らかにすることを目的にしている。sRNAは標的mRNAとの塩基対形成領域、Hfqタンパク質との結合領域、及び転写終結領域により構成される。平成25年度では、Hfqとの機能的結合領域の一部である3’末端のポリU塩基の意義についての検証に精力的に取り組んだ。sRNAの3’末端のポリU塩基は、sRNA遺伝子の転写終結においても重要な役割を担う。そこで申請者らはsRNA遺伝子の下流に他の遺伝子の転写終結領域を連結するようにデザインしたモデルsRNA遺伝子の発現系を構築した。これらの系を用いることにより、sRNA遺伝子の転写終結領域を読み飛ばした転写産物(リードスルー産物)が、転写終結産物と区別されて検出されることを確認した。これらの転写産物と細胞内におけるHfqとの結合を含め詳細に解析した結果、sRNA遺伝子のリードスルー産物は機能を持たないことが強く示唆された。このことは、sRNA機能におけるsRNA遺伝子の転写終結の重要性を示しており、また細胞内でのsRNAの機能においてポリU塩基が3’末端に位置することが必要であることを示している。またこれらの解析の中から、sRNA遺伝子の転写終結がストレスにより制御されている可能性を見いだした。sRNA遺伝子の中には、種々のストレスにより転写が誘導されるsRNA遺伝子がいくつか存在する。申請者らが見いだしたsRNA遺伝子の転写終結がストレスにより制御されている可能性は、sRNA遺伝子の転写制御に加えて新たなsRNA生合成の調節機構が存在する可能性を示唆する。ドイツで開催された国際会議、国内で開催された学会等において、これらの研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題研究の平成25年度の研究計画の大きな課題であるsRNA機能に必須の3’末端の連続したU塩基の意義について、モデル遺伝子の発現系等の解析手法の確立を含め、研究成果が得られた。それらの研究成果を、国際会議を含めた場で精力的に発表した。また研究を進める中で、新規のsRNA生合成の調節機構が存在する可能性が見いだされ、次年度以降に計画していた研究課題に加え、新たな展開が期待された。これらの点をふまえ、本課題研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
sRNAの機能における3’末端の連続したU塩基の意義について、U塩基の数、あるいは連続することの必要性に焦点を当て、さらに研究を進める。また、構造解析の研究グループ等と積極的に共同研究を行い、sRNA機能構造の全容の解明に取り組む。sRNA遺伝子の転写終結がストレスにより制御されている可能性については、詳細な分子機構を明らかにする目的で、転写終結領域の配列特異性、及びストレスの種類について系統的に解析する。研究計画に提案したsRNAの塩基対形成領域、及び機能的Hfq結合領域間の連動性、及び機能的Hfq結合領域の重要性を塩基レベルで理解することについても研究を進める。これらの研究を進める上で、平成25年度で得られた研究成果は有用である。得られた成果については、積極的に学術論文、及び学会等で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究実績の概要、及び達成度の通り、平成25年度において本計画研究はおおむね順調に進んだと考えられる。平成26年度での計画研究をより効果的に行うために、当該助成金を繰り越した。 当該助成金、及び翌年度分として請求した助成金は、今後の研究の推進方策にあげた計画研究には必要なものであり、特に当該助成金については物品消耗品費として使用を計画している。
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