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2013 年度 実施状況報告書

高等植物の根の形態形成を制御する新規転写制御機構の構造的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25440025
研究種目

基盤研究(C)

研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

平野 良憲  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50452529)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード転写制御 / 分子複合体 / パターン形成 / GRASファミリー / 結晶構造解析
研究概要

動物,植物,微生物などの多細胞生物にとって,細胞運命決定は普遍的で不可欠なプロセスである.動物細胞は原腸陥入のように,細胞がしばしば移動して器官形成が行われるが,細胞壁を持つ植物の細胞は移動することができない.そのため,植物では細胞の非対称分裂と分化による細胞運命は密接な関係のもと,厳密に制御されている.本研究では根端分裂組織の形態形成(パターン形成)において中心的な役割を果たすGRASファミリータンパク質SCR, SHR の立体構造解析を行い,原子レベルで形態形成を司る未知の転写制御機構を明らかにすることを目的としている.
本年度はSCR, SHR複合体の結晶化に成功した。得られた結晶を用いて大型放射光施設SPring-8でのX線回折実験を行い、得られたデータを解析することで複合体の精密な立体構造を決定するに至った。本構造は高等植物で重要な役割を果たすGRASドメインの世界初の立体構造であり、得られた立体構造から生物学的な意義について機能解析を現在進めている。SCR, SHRは植物体内で転写活性化を行う分子として機能しているため、転写活性化に関与する分子との相互作用解析および活性解析を進めた。
SCR, SHRと相互作用する転写因子MGPについて、種々のコンストラクトを作成して、in vitroでの相互作用解析を行った結果、相互作用領域を絞り込むことに成功した。これと並行してSCR, SHR, MGPの三者複合体の結晶化スクリーニングを行った結果、いくつかの結晶を得た。これらの結晶についてX線回折実験を行った結果、MGPの電子密度を観測することができなかった。そのためMGPと同様にSCR, SHRと相互作用するJKDについても同様に結晶化実験を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の肝となる2つの構造解析のうち、本年度は1つの構造解析に成功した。また2つめの構造解析ターゲットについても、結晶が得られており構造解析の目途がついた。初年度の成果によって得られた立体構造情報から作業仮説を立て、現在のところ機能解析によって新規な転写制御機構モデルを構築していることである。以上の点を考慮すると、当初の計画以上に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後、立体構造解析についてはMGPのかわりにJKDを用いてSCR, SHRとの三者複合体の結晶化を進める。すでに小型の結晶が得られているので、結晶化条件の精密化を行うことで、X線回折実験に十分な質の結晶の作成に努める。構造解析と並行して、転写因子MGP, JKDのDNA結合能に対するSCR, SHRの役割について機能解析を進める。

次年度の研究費の使用計画

研究計画ではSCR, SHR, MGPの三者複合体の結晶化を行う予定であったが、研究進捗に伴い、別なタンパク質JKDとSCR, SHRの三者複合体の結晶化に成功した。そのためこちらを優先して研究を行った結果、当初の予算と直接経費の使用額にズレが見られ、次年度使用額が生じた。
SCR, SDHRとJKDの三者複合体で得られた結晶化方法をフィードバックして、SCR,SHR, MGPでの三者複合体の結晶化を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Mechanism of high-affinity abscisic acid binding to PYL9/RCAR12014

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa M, Kagiyama M, Shibata N, Hirano Y, Hakoshima T.
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 19 ページ: xx-xx

    • DOI

      10.1111/gtc.12140.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structural and functional analysis of the yeast N-acetyltransferase Mpr1 involved in oxidative stress tolerance via proline metabolism.2013

    • 著者名/発表者名
      Nasuno R, Hirano Y, Itoh T, Hakoshima T, Hibi T, Takagi H.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 110 ページ: 11821-11826

    • DOI

      10.1073/pnas.1300558110.

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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