研究課題/領域番号 |
25440025
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
平野 良憲 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50452529)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子複合体 / 転写制御 / GRASファミリー / パターン形成 / IDDファミリー / 結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
多細胞生物では、受精卵や幹細胞などの未分化細胞が”非対称に”分裂を繰り返すことで生じた娘細胞は異なる運命をたどり、胚発生や器官形成などを経て、調和のとれた多細胞集団としての個体を生み出す。そのため、非対称分裂、分化後の娘細胞の細胞運命の調律はすべての多細胞生物において極めて重要である。特に細胞壁を持つ植物の細胞は移動することができないため、細胞の非対称分裂と分化による細胞運命は密接な関係のもと厳密に制御されている。本研究では植物の根の分化過程において幹細胞性の維持、娘細胞の非対称分裂や運命決定において中心的な役割を担うGRASファミリータンパク質に属するSHR、SCRの構造生物学的研究によって、原子レベルで形態形成を司る未知の制御機構を明らかにすることを目的としている。 本研究においてGRASファミリータンパク質SHR、SCR複合体の立体構造をX線結晶構造解析によって明らかにした、その結果、GRASドメインどうしの特異的な認識機構の一端を明らかにした。また生物物理学的解析によって、GRASファミリータンパク質にはヘテロ二量体、ホモ二量体、単量体として存在しているものがあることを明らかにした。また、植物特有の転写因子IDDファミリータンパク質の1つJKDとSHR、SCRの三者複合体の立体構造を明らかにした。IDDファミリーはN末端に4つのZnフィンガーを有するが、立体構造解析によりJKDのZnフィンガーはSHRによって特異的に認識されていることが明らかになった。SHRに結合するための配列としてSHR結合モチーフを同定して、IDDファミリータンパク質中に保存されていることを発見した。また、IDDファミリーのDNA結合領域を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目標としていたSHR、SCRのGRASドメインの立体構造解析に成功して、特異的なヘテロ二量体形成の構造基盤を明らかにした。またZnフィンガー転写因子IDDファミリーのJKDとの三者複合体の立体構造も明らかにして、JKDのSHR結合モチーフを同定することに成功した。また、立体構造解析の結果、予想外にSHR結合モチーフがIDDファミリー内で保存していることから、多様なシグナルネットワークを形成する可能性を示唆する結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度が最終年度のため記入しない。
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次年度使用額が生じた理由 |
構造解析の結果、GRASドメインがある種の酵素と構造類似性があることを発見した。そのため、新たに発見した知見に基づいて機能をより精緻に明らかとするため、酵素としての機能解析を優先して行った。これに伴い、予定していた変異体を用いた相互作用解析など一部の実験計画を変更したため、期間を延長して相互作用解析を次年度に行うための経費を繰り越す必要性が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
変異体を用いた相互作用解析実験等を行うための、生化学試薬の購入等を予定している。
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