研究課題/領域番号 |
25440029
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
角田 佳充 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00314360)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酵素 / 糖鎖 / 蛋白質 / バイオテクノロジー / 細菌 |
研究概要 |
グリコサミノグリカンは、2種類の糖が交互に結合した直鎖状の糖鎖であり、ヒトにおいては、細胞間の情報伝達や、クッションとしての役割等、様々な生理作用において重要な役割を果たしている。ある種の細菌がヒトと同じ構造のグリコサミノグリカンを持つことから、細菌由来で安定で高反応性のグリコサミノグリカン合成酵素がいつくか報告されてきている。本申請では、医薬品としてすでに利用されていることと、健康食品としても広く使われていることから、特に有用性が高いと思われるヒアルロン酸合成酵素について、その基質特異性と反応メカニズムを明らかにすることで、より効率的な酵素の創生を目指すものである。 ヒアルロン酸合成酵素は、2種類の糖が正確に交互に連続的糖転移反応をすることで、ヒアルロン酸糖鎖を効率よく合成することができる。しかし、これらの反応メカニズムは、立体構造情報がない為に、ほどんどわかっていない状況にある。本酵素の立体構造解析と変異体の酵素活性測定、結合活性測定を行うことで、基質特異性を含めて酵素反応メカニズムを明らかにすることを目指している。このことは、広くグリコサミノグリカン糖鎖の合成機構の解明の基盤情報を得ることにつながると期待できる。 本年度におてい、我々は、ヒアルロン糖鎖合成酵素結晶についてX線結晶構造解析実験を行い、位相決定、構造精密化に成功した。本成果は、ヒアルロン酸合成酵素として初めての成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書中で記載していた1年目の実験計画において、最も中心的な目標であったヒアルロン酸糖鎖合成酵素の立体構造決定を、X線結晶構造解析を行うことで達成することに成功した。本立体構造は、UDP複合体であるが、2年目以降に予定している本来のドナー基質複合体、そして、アクセプター糖鎖複合体の立体構造を決定していく上で、十分な情報を提供することなる。 以上の状況から、本研究は、「おおむね順調に進展している」と評価できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ヒアルロン酸合成酵素の糖鎖合成反応の様々な状態での立体構造決定(ドナー基質として、2種類のドナー基質複合体、, マンガンイオン、アクセプター基質として、ヒアルロン酸糖鎖の結合した状態の組み合わせ) を目指す。2種類のドナー基質UDP-GlcNAcとUDP-GlcUAを結合させた状態を見ることで、ヒアルロン酸糖鎖が結合する前の状態を見ることができる。また、アクセプター基質として、非還元末端がGlcNAcのヒアルロン酸糖鎖と、非還元末端がGlcUAのヒアルロン酸糖鎖の2種類を準備し、それぞれの合成酵素との複合体を作製することで、糖鎖伸長反応のスナップショットを見ることができる。さらに、クライオ条件による酵素反応停止により、ドナー基質とアクセプター基質の両方が同時に結合したミカエリス複合体の立体構造決定を目指す。
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