|
グリコサミノグリカンは、2種類の糖が交互に結合した直鎖状の糖鎖であり、ヒトにおいては、様々な生理作用において重要な役割を果たしている。ある種の細菌がヒトと同じ構造のグリコサミノグリカンを持つことから、細菌由来で安定で高反応性のグリコサミノグリカン合成酵素がいつくか報告されている。これらの酵素は、すべて２種類の糖が正確に交互に連続的糖転移反応をすることで、それぞれの糖鎖を効率よく合成することができる。しかし、これらの反応メカニズムは、未だ不明なことが多い。これらの酵素について、酵素反応メカニズムを明らかにすることで、広くグリコサミノグリカン糖鎖の合成機構の解明の基盤情報を得ることを目指して本研究を行った。
本研究は、バクテリアの持つ複数のグリコサミノグリカン様糖鎖合成酵素について、高活性をを持つ酵素の大量発現、大量精製、および結晶化を行った。ヒアルロン糖鎖合成酵素については、Ｘ線結晶構造解析による立体構造決定に成功した。また、立体構造解析から得られた情報に基づき、予想活性残基の点変異体を作製し、その活性への寄与を評価したところ、活性残基と基質認識残基の同定に成功した。これらの情報は、以前報告したコンドロイチン合成酵素を合わせて考察することにより、２糖繰り返しの特徴的な構造を持つグリコサミノグリカン糖鎖の生合成機構の一般的な合成メカニズム解明に対して、重要な知見となったと考えられる。
|
