研究課題/領域番号 |
25440034
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
庄村 康人 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 助教 (50423900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 鉄硫黄クラスター / 金属タンパク質 / 分子シャペロン |
研究概要 |
多くの重要な金属タンパク質に含まれる鉄硫黄クラスターは,細胞内で専用のシステムによって合成されている.生物種や細胞内小器官によって異なるこれらのシステムの中で,真核生物の細胞質と核に局在する鉄硫黄クラスタータンパク質の生合成に関与するものは比較的最近その存在が明らかになったが,合成経路の詳細はいまだ明らかにされていない.本研究ではこのシステムに関与するタンパク質群について,単体および複合体での結晶構造解析を行い,合成経路およびその主要段階の反応機構を解明することを目的とする.今年度はまず,大腸菌を用いた各タンパク質(Nar1, Nbp35, Cia1, Cfd1)の発現系の構築に着手した.標的としてまず分裂酵母由来のものを選んだが,それはCia1とCfd1が一つになった融合タンパク質として存在するため,4者複合体の調製がより簡便になることを期待したためである.Nar1およびNbp35については大腸菌内で形成された金属クラスターが酸素に対して非常に不安定ではあるものの, アポタンパク質としては安定に精製されることが分かった.また,Nar1には2つのクラスターが存在し,そのうち一方は好気的条件化でも比較的安定であることを確認した.Cia1については大腸菌ではまったく発現されなかったため,Cia1ドメインとCfd1ドメインに分けたところ,Cfd1のみが発現された.大腸菌用にコドンを最適化した人工合成遺伝子を用いたが,Cia1はやはり発現されなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3種類の標的タンパク質のうち,2つの全長タンパク質(Nar1, Nbp35)の発現系を,1つのN末端ドメイン(Cfd1)の発現系を構築し,これらのタンパク質の精製条件の確立を完了した.当該年度のもう一つの目標であった,タンパク質相互作用の解析はNbp35-Cfd1については進んでいるが,Cia1の発現系が完成していないため,Nar1-Cia1の方は未着手である.個々のタンパク質の単体での結晶化実験はすでに着手しているが,今のところ結晶は得られていない.
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今後の研究の推進方策 |
現在大腸菌による発現系が構築できていないCia1については,酵母もしくは昆虫細胞の発現系によるタンパク質生産を検討している.それでもCia1が発現されない事態を想定して,分裂酵母以外の生物種からの標的タンパク質のクローニングにも着手する.また,Nar1およびNbp35については,金属クラスター形成ドメインを欠損した各種変異体を調製し,これらの相互作用解析を進める.さらに,嫌気条件下,ヌクレオチド存在下でも同様に相互作用を調べ,金属クラスターの形成や補因子の結合が与える影響について検討する.結晶化については複合体の結晶化条件検討に着手し,X線回折実験に適した良質な単結晶の調製を目指す.
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