①フモニシン合成系のkey enzyme であるFum8p:前年度に引き続き、Fum8p大腸菌内発現系の改善を試みた。酵素タンパク質の疎水性領域を長さを変えて欠失させた変異型タンパク質の発現系を構築した。欠失領域の拡大によって組み換えタンパク質の発現量が増加する傾向が見られたが、可溶性に発現するものはなかった。可溶性発現に至適な培養条件を検討した結果、若干の効果が認められたが、劇的な改善には至らなかった。水溶性画分からの酵素精製を試みたが酵素活性のある精製表品を得るには至らなかった。アミノ酸配列解析を行い、疎水性度を上昇させると想定されるアミノ酸残基に対して変異を導入し、複数の変異型タンパク質に関して可溶性に発現させることに成功した。現在、これら変異体の性状解析を継続して進めている。 ②フモニシン合成系のkey enzyme であるFum13p:大腸菌内で大量発現させたFum13p組換えタンパク質の精製法の改良に取り組んだ。酵素タンパク質の安定化剤の添加効果を検討したが劇的に改善するものは見つけることができなかった。結晶化に取り組んだ。 ③セリンパルミトイル転移酵素:従来の結晶化条件で調製したセリンパルミトイル転移酵素の結晶はその結晶学上の特性のために基質アナログとの複合体結晶の解析には不向きであった。酵素タンパク質と基質アナログの複合体の立体構造解析を行う目的で新しい結晶化条件のスクリーニングを行なった。いくつかの新規の結晶化条件が見つかり、得られた結晶を用いてX線構造解析を行なった結果、これまで得られなかった基質非結合型の酵素の立体構造決定に成功した。
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