研究課題
基盤研究(C)
研究項目ごとに記載する。①D-ヒドロキシプロリン脱水素酵素(D-HypDH)の触媒メカニズムの解明:本年度の目標であった分子量の異なる3つのサブユニットを個別に大腸菌で発現させる系を構築した。また、3つを共発現させた結果D-HypDH活性をTween-20を添加した可溶性画分に検出でき、活性型組み換え酵素を得られる目途がついた。②Pyr4H2C脱アミノ化酵素の新たな触媒メカニズムの解明:本年度は、阻害剤ピルビン酸を水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)存在下で反応させ安定な共有結合中間体を形成させ、質量分析で推定活性残基であるリシン修飾の有無を解析することを目標とし、これに成功した。③細菌の3-ヒドロキシプロリン(T3LHyp)代謝経路の解明:当初予定になかった項目だが、①の項目を実施中にこれまで報告例のないT3LHypを資化できる細菌を発見した。T3LHypで生育させた細菌の無細胞抽出液中に2つの酵素活性、T3LHyp脱水酵素とΔ1-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素、の誘導が確認された。バイオインフォマテックスの手法を駆使し、これら酵素をコードする遺伝子候補LhpH及びLhpIの選抜を行い、組み換え酵素の性質及び遺伝子破壊株の表現型を解析することで、代謝経路の同定に初めて成功した。④機能未知遺伝子のアノテーション:本年度着目したPA1252遺伝子が、上記Δ1-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素を有することが分かった。しかし本遺伝子はT3LHypでは誘導されなかった。酵素学的性質を見ると、4-ヒドロキシプロリンの異性体であるシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの代謝に関わっている可能性が示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画した項目が順調に進んでいるだけでなく、予期せぬ成果を上げることもできた。学術論文や学会等での発表、特許出願も行えたことから進捗度合・達成度ともに計画以上であると思慮する。
現時点で研究遂行の障害となる案件や課題は見当たらない。来年度は、D-ヒドロキシプロリン脱水素酵素で一部共同研究を開始した他大学の研究者との連携を強めていきたい。
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FEBS Open Bio
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