研究実績の概要 |
①D-HypDHの触媒メカニズムの解明:各サブユニットと個別に発現精製した。その結果、LhpB遺伝子が触媒サブユニットβをコードしていること、四次構造形成により活性部位の構造が変化すること、などの知見を得た。学術論文1報を発表した(Watanabe et al., J. Biotechnol. 2015, 199, 9-16)。 ②Pyr4H2C脱アミノ化酵素の新たな触媒メカニズムの解明:活性残基リシンに続く活性部位の候補として、193番目と255番目のアスパラギン酸に着目した。変異体の解析から、この2箇所が活性に重要であるだけでなく立体構造維持にも寄与している可能性が示唆された。 ③3-ヒドロキシプロリン(T3LHyp)代謝経路の解明:バイオインフォマティック解析の結果、前年度に明らかにした細菌の代謝酵素のホモログが超好熱古細菌Thermococcus litoralisにも存在することが分かった。2番目の酵素であるΔ1-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素は、同じタンパク質ファミリーに属するものの細菌と古細菌で大きく性質が異なっていた。学術論文1報を発表した(Watanabe et al., FEBS Open Bio 2014, 4, 617-626)。 ④Bifunctional proline racemase/hydroxyproline epimeraseの発見:プロリンラセマーゼとヒドロキシプロリン異性化酵素は、同じタンパク質ファミリーに属するが基質特異性は極めて厳格である。一方、③の研究の過程で超好熱古細菌T. litoralis由来機能未知遺伝子OCC_00372が、プロリンとヒドロキシプロリン両方に作用する酵素であることを初めて見出した。学術論文1報を発表した(Watanabe et al., PLoS One 10(3), e0120349)。
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