研究課題
基盤研究(C)
本研究では、高コレステロール組成の分泌顆粒膜を基盤とした顆粒形成のメカニズムを明らかにするために、生体膜変形活性を持つBARタンパク質の遺伝子探索とタンパク質精製の両面からその実体を明らかにする『A. 分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質の発見』と、コレステロール結合ドメインの構造解析を中心とした『B. セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する』、を計画した。A. 分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質の発見申請者はマススペクトル解析による顆粒膜局在タンパク質群、野生型マウスとSgIIIノックアウトマウスを比較した下垂体mRNAの発現プロファイル、ラット下垂体遺伝子発現プロファイルから候補遺伝子を得ている。平成25年度は候補タンパク質にFLAGなどのタッグ配列を接続し、細胞内局在を解析した。また内分泌細胞抽出液からコレステロール濃度の異なるリポソームを使い高コレステロール組成膜に結合するタンパク質を精製し、数種類の候補タンパク質を得た。B. セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する申請者は連携研究者(山田)とセクレトグラニンIII (SgIII) の分泌顆粒膜結合ドメインである SgIII 172-186 を含むポリペプチド(SgIII 160-192) を化学合成し、Circular Dichroism (CD) Spectra 法で α-helix 構造を持つことを確認している。平成25年度はコレステロール配位高次構造解析の第1段階として高分解能 NMR 装置(日本電子製ECA-600核磁気共鳴装置)を用いたSgIII(160-192)の 1H NMR 測定(TOCSY, NOESY)を実施した。
2: おおむね順調に進展している
A. 分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質の発見申請計画書に示した<BARタンパク質を遺伝子から探索する><分泌顆粒に結合するBARタンパク質を精製する>の両アプローチともに順調に進んでいる。B. セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する高分解能NMRによるSgIIIの構造解析は各アミノ酸残基に由来する交差ピークのオーバーラップにより十分なピーク分離が得られなかったが、平成26年度は同位体(15N)標識SgIII(160-192)で構造解析を行う。一方、生化学的、細胞生物学的アプローチは年度を前倒しして解析が進んでいる。
A. 分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質の発見平成25年度に得た顆粒膜の形成・維持に関与する候補BARドメインタンパク質について;1)候補タンパク質の全長もしくはBARドメインをGST融合タンパク質として大腸菌から精製し、高コレステロールリポソームとの結合特異性を示す、2)またGST融合タンパク質とコレステロール組成を変えたリポソーム膜との結合性を調べる、3)BARドメインタンパク質には球状のリポソームを細長いチューブ状に変形する分子が報告されている。そこでGST融合タンパク質を利用して膜変形活性を調べる。4)候補タンパク質に対して抗体を作成し、蛍光抗体法・電子顕微鏡で細胞内局在を確認する、を計画している。B. セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明するこれまで申請者が開発してきた蛍光コレステロールプローブ(Dansyl-Cholesterol、Pyrene-Cholesterol、Perylene-Cholesterol、SgIIIノックダウン細胞、を利用してSgIIIがコレステロールをTGN膜に運ぶか検証を行う。野生型細胞とSgIIIノックダウン細胞に蛍光コレステロールを投与し、顕微鏡下で蛍光コレステロールの局在を経時的に比較する。微細構造の観察には抗体を用いた免疫電顕を行う。
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