研究課題/領域番号 |
25440052
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
穂坂 正博 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (80311603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内分泌細胞 / 分泌顆粒 / コレステロール |
研究実績の概要 |
本研究では、高コレステロール組成の分泌顆粒膜を基盤とした顆粒形成のメカニズムを明らかにするために、A) 分泌顆粒形成・維持に係るタンパク質の発見と、コレステロール結合ドメインの構造解析を中心としたB) セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する、を計画した。 A)分泌顆粒形成・維持に係るタンパク質の発見 申請者はこれまで顆粒膜組成の神経内分泌細胞より分泌顆粒膜画分を精製し、マススペクトル法で顆粒膜に結合するタンパク質群を同定し、また顆粒形成に関与するSgIII(セクレトグラニンIII)ノックアウトマウスの下垂体と膵島mRNAの発現をマイクロアレイで比較した。平成26年度は既報のタンパク質も含めこれまでの解析で得たタンパク質群の内分泌組織特異性と高コレステロール膜に対する変形活性を調べた。さらにタンパク質プロファイルを増強するため、内分泌細胞株で、活性型ホルモン量が増加する、顆粒数が増える、と云った条件を探索したところ、下垂体由来の細胞がマイルドなストレス負荷で顆粒数増加を示す所見を得た。 B) セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する SgIIIノックアウトマウスはインスリン分泌に異常があることを見出した。そこで現在、顕微鏡レベルで膜コレステロールの局在を解析している。また申請者は連携研究者(山田)とSgIII の分泌顆粒膜結合ドメインの構造解析を行っている。昨年度はコレステロール配位高次構造解析の第1段階として高分解能 NMR 装置を用いたSgIII(160-192)の 1H NMR 測定を実施したが、各アミノ酸残基に由来する交差ピークのオーバーラップにより十分なピーク分離が達成できなかった。そこで現在、試料の最適化を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A) 分泌顆粒形成・維持に係るタンパク質の発見 申請書に示した「遺伝子探索」「タンパク質精製」の両アプローチともに順調に進んでいる。新たに平成26年度は精製ソースの再検証から顆粒数を増強する条件を得た。 B) セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する SgIIIマウスの解析からコレステロールとホルモン分泌のクロストークについての所見が得られつつある。SgIIIのコレステロール結合領域の構造解析については連携研究者によるNMR試料の調製が難航しており、次年度は精製方法の改善を図るとともに高精度の測定データの取得を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
A) 分泌顆粒形成・維持に係るタンパク質の発見 該当タンパク質に対する細胞内局在、発現パターンの解析を行う。また生体膜活性について、これまでの解析からコファクターの存在が考えられるので検証を重ねる。さらに市販抗体が存在するタンパク質について、すでに検証しているが免疫蛍光抗体法で染色できなかったので新たに抗体作成を計画している。 B) セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する マウス血中に蛍光コレステロールを投与したが蛍光を観察することができなかった。そこで単離膵島、下垂体にを蛍光コレステロール存在下で培養し、その蛍光を観察する。またSgIIIのNMR解析は、昨年度に同位体(15N)標識SgIII(160-192)の合成を行った。しかしながら、現時点ではNMR測定に供するだけの試料を十分に確保できていない。現在、精製方法の最適化を行っている。
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