研究課題
本研究では、内分泌細胞における高コレステロール組成の分泌顆粒膜を基盤とした顆粒形成のメカニズムを明らかにするために、生体膜変形活性を持つBARタンパク質の遺伝子探索とタンパク質精製の両面からその実体を明らかにするA) 分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質の発見と、コレステロール結合ドメインの構造解析を中心としたB) セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する、を遂行した。A)分泌顆粒形成・維持に係るBARドメインタンパク質:昨年度までの試行錯誤から、本年度はストレス条件下(顆粒数が増加する)で内分泌細胞を培養し、ショ糖密度勾配遠心法で分泌顆粒を精製した。さらに顆粒画分より構成タンパク質を抽出した。この抽出液とコレステロールを含まないリポソームをインキュベーションし、遠心分離で上清と沈殿物に分け、次に、上清を分泌顆粒膜タイプの高コレステロール組成リポソームと反応し、超遠心で上清と沈殿物に分離する。超遠心後の沈殿物をSDS-PAGEで展開して解析したところ、既存の顆粒内高コレステロール親和性タンパク質に加え、細胞質側のタンパク質を同定した。またBARドメインを持つタンパク質は既知タンパク質であった。現在はリコンビナントタンパク質を作製し膜変性活性を解析している。B)セクレトグラニンとプロセシング酵素が顆粒へコレステロール運搬する機能を解明する:セクレトグラニンIII欠損マウスで顆粒へのホルモン輸送を調べたところ、ストレス条件下でホルモン輸送活性が減弱していることが明らかとなった(論文投稿中)。そこでセクレトグラニンIII欠損マウスの内分泌組織から顆粒を精製し、コレステロール含量を解析したところ野生型と比較して減弱していた。現在、電子顕微鏡で顆粒構造の変異を調べている。
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