研究課題/領域番号 |
25440055
|
研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
小池 あゆみ 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (20454176)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | シャペロニン / タンパク質 / フォールディング / GroEL |
研究実績の概要 |
我々は、シャペロニンGroELの2つのリングが同時に活性状態にあるフットボール型反応中間体を経由するダブルストローク反応モデルを提案し、検証している。in vitro の実験系で検証されたこのモデルが、細胞内におけるGroEL の作用機構にもあてはまるか確認するため、FCCS技術で細胞内のGroES/GroEL複合体の検出を目指している。1分子のGroELに2分子のGroESが結合したフットボール型複合体の検出のために、7量体GroESを遺伝子上で連結し、さらにsfGFPを融合した7ES-sfGFPおよび、7ES-Halo tagの同一菌体内発現系を構築した。培養菌体のライセートをSDS-PAGE後、GroES、GFP、Halo抗体でそれぞれ検出し、目的のタンパク質が発現していることを確認した。さらに、菌体外から取り込ませたTMRラベルHaloリガンドの蛍光とsfGFP蛍光を同時検出した。細胞内FCSで蛍光分子の挙動観察を試みたが、蛍光強度と発現量のコントロールが必要であることがわかった。in vitroにおいて精製タンパク質を用いた実験から、フットボール型複合体は、変性タンパク質共存下で増加する傾向にあるとわかっている。また、フットボール型複合体は、7量体リング2つに分かれて(スプリット)シングルリングを形成しやすく、シングルリングになるとATP 加水分解が終了後もポリペプチドは放出されないことから、変性タンパク質の長時間保護が可能と予想される。ストレスにより変性タンパク質が増加した環境下の大腸菌細胞内においては、フットボール型複合体を経由する反応機構が優先されるのではないかと予想し、培養条件を変えて検出する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞内光クロスリンク技術とFCCS技術により、生細胞内のGroEL/GroES複合体の生成比を比較することを目指しているが、特にH26年度は生細胞内FCCSの計測のための2色の蛍光7量体GroESの発現までは確認できた。まずはライセートを用いてFCCSによるGroEL/GroES複合体検出に取りかかる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、細胞内に存在する、弾丸型、フットボール型、シングルリング複合体のそれぞれの生成比と、培養条件による変化を細胞内光クロスリンク技術で定量することを目指す。また、FCCS技術で生細胞内の各複合体存在比を検証する前段階として、ライセートによるFCCS、ライセートからの複合体精製を行う予定である。
|