本研究は、真核細胞の基本的なタンパク質分解機構である小胞体関連分解(ER-associated degradation; ERAD)をより理解するために、酵母において、ERADで機能すると考えられる未知のエンドペプチダーゼを同定し、その機能を調べることを目的にしている。これまでの解析で、プロテアソームに運ばれる前に異常タンパク質が切断されていることを示すデータを得た。そして、エンドペプチダーゼの候補としてメタロプロテアーゼSte24を発見したので、Ste24の解析を進めている。平成25年度に行ったエンドペプチダーゼの同定に関する成果を以下に示す。 Ste24遺伝子破壊株では野生株よりもCPY*の分解が遅くなることが分かり、少なくともSte24がCPY*の分解に関与することが明らかになった。 次にCPY*の切断部位を明らかにするための実験を行った。CPY*の中間体(50K付近)のサイズからおおよその切断部位を推測してCPY*のC末端側を段階的に削除した複数のCPY*C末端削除体を作製して、中間体と比較したところ、CPY*の400番目付近に切断部位が有ることが分かった。さらに詳しく調べるためにCPY*の400番目付近を5アミノ酸ずつアラニンに置換したCPY*アラニン変異体を作製して、中間体の生成を調べたところ、400から404番目のアミノ酸をアラニンに置換した変異体でCPY*中間体が検出されなかった。つまり、少なくともこの5アミノ酸の一部もしくは全部が切断に重要であると分かった。現在、400から404番目のアミノ酸を一つずつのアミノ酸を置換した変異体を作製して、切断部位の同定を試みている。
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