研究課題/領域番号 |
25440059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小野 弥子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (20392376)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プロテアーゼ / マウス / ノックアウト / カルパイン / 致死 |
研究概要 |
1) CAPN7ノックアウトマウスと恒常的かつ全身性にカルパイン7(野生型およびプロテアーゼ活性失活変異体)を発現するトランスジェニックマウスと交配して、ホモノックアウトマウスの表現型が抑制されるかを検討した。野生型CAPN7については、タグなし、またはEGFP-との融合タンパク質として発現させた場合でも、ほぼ完全に致死性が回避できることが観察された。一方、この結果を、プロテアーゼ活性失活変異体(CS変異体)のトランスジェニックによる致死性回避と比較使用とした際、以下の問題が生じた。a) トランスジェニックマウス間で発現量の差がある(臓器によって程度は異なる)、b) CS変異体のトランスジェニックの個体サイズにバラツキが認められる、c) EGFP-との融合タンパク質として発現させたCS変異体には、ほとんど致死性回避が起こらないが、例外が0ではない、ということである。 2) MEF細胞(マウス線維芽細胞)を用いて、定量的プロテオームによる解析を行った。これは、施設に設置された機種の感度・データ取得量が増加したので繰り返したものである。CAPN7遺伝子型に依存した差はいくつか見出されたが別の方法ではまだ確認できていない。一端、現段階ではこれをMEF細胞の表現型としては結論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トランスジェニックマウスとノックアウトマウスを交配維持する際に、計画的に産仔が増やせず、統計的に中途半端な規模での解析結果となった。そのため、集中して解析するマウスのラインが特定できなかったこと、そのラインに対して交配するための異なるトランスジェニックマウスの作製に移れなかった。 また、CAPN7の生理機能に対するプロテアーゼ活性の重要性、という点について、可能な限り全ての可能性を検討できるべく実験計画を立てる、という部分で穴があったため、やり直さねばならない実験もできてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、恒常的なCAPN7の発現による影響をどのくらい考慮すべきか検討するため、Creリコンビナーゼ発現マウスとの交配時にのみCAPN7を発現するマウスを用いて、同様の交配実験を行い、再現性を検討することにしている。また、致死性を回避できた延命マウスについては、ある程度週齢が進んだので、順次サンプリングと解析を行っていく。 達成度が遅れている原因とも重なるが、CAPN7の生理機能に対するプロテアーゼ活性の重要性、という点について、可能な限り全ての可能性を検討できているかどうか、を見直す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の遅れ(統計的に中途半端な規模での解析結果となった。そのため、集中して解析するマウスのラインが特定できなかったこと、そのラインに対して交配するための異なるトランスジェニックマウスの作製に移れなかったこと)のため、取っておいた研究費が使用できなかった。また、結果が得られれば、学会発表したかったが、実現しなかったことも原因である。 研究計画の遅れを取り戻せるよう、研究費の使い方として、解析内容によっては外注することも検討する。今後、プロテオーム解析の際に、文献で関連が指摘されている他の分子群について、もう一度得られたデータを再検討することと合わせてマウス胎児の組織を用いたプロテオーム解析を予定しているので、そのための試薬購入費用としたい。
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