X線異常分散(共鳴X線散乱)を利用すると,溶液中でのタンパク質や生体膜,特に多くの生体反応過程において重要な役割を果たしている金属原子を内包した金属タンパク質の機能構造に関して新たな検討を行うことができると期待されている。一方,最近の第3世代放射光光源を用いたタンパク質や生体膜の広角X線散乱法の進展により,0.2 nmから250nmの範囲の全層構造領域,すなわちタンパク質の2次構造から4次構造,生体脂質のアルキル鎖のパッキングから凝集体の全体構造までの観測が可能となっている。本研究の主眼は,共鳴X線散乱法と広角X線散乱法を用いて,生体分子の内部構造を観測する新たな手法の開発とその応用である。
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