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2016 年度 実績報告書

蛋白質の凝集メカニズムの原子レベルでの解明と化学修飾法による安定化

研究課題

研究課題/領域番号 25440069
研究機関横浜市立大学

研究代表者

池上 貴久  横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (20283939)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード核磁気共鳴 / 凝集 / 非特異的相互作用 / NMR
研究実績の概要

タンパク質の凝集が最近の大きな話題となっているが、原子レベルでこれを見ると、凝集と言えどもその様子は大きく二つに分けられる。1つ目は個々の分子が特定の立体構造をとらず、さまざまな、あるいは動いた構造をとったタンパク質分子がお互いに非特異的に相互作用して大きな凝集体となっているケースである。もう1つは、ある程度決まった構造をすでにとってはいるが、その構造を保ったまま集まって凝集しているケースである。その決まった構造がもともとの構造と異なるようなケースもこの範疇に入る。この二つのケースのうち後者を対象として、その凝集の物理的なメカニズムを解明することを研究の目的とした。

対象として、バンコマイシン耐性に関与する腸球菌由来の VanX を選んだ。研究を進めるにつれて、これが二量体である証拠が出始め、さらにこの VanX は濃度に依存して二量体と四量体の間の平衡が移動しているようであった。凝集を防ぐための具体的な化学修飾の開発にまでは至らなかったが、最終年度は NMR による主鎖の帰属をほぼ完成させ、二量体としての立体構造が分かりつつある。当研究は今後も継続していき、多量体を形成するメカニズムを立体構造の観点から解明する。

立体構造を保ったままタンパク質が凝集する現象は、アミロイドなど多くの病気と関連している。そのため、そのメカニズムの解明はそれらの病気の解明につながる。また、大腸菌発現系における封入体(inclusion body)の実体についてもあまり良く分かっておらず諸説が出されているが、この解明にも役立つであろう。また、多くのタンパク質が自発的に複雑な複合体を形成する系において、その組織化の物理的メカニズムには今回の凝集のメカニズムと共通している要素も多い。このことから、当研究は生体内における純粋な生命科学の解明にもつながると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] NMR spin-relaxation analyses of larger molecules2017

    • 著者名/発表者名
      池上貴久
    • 学会等名
      RRR workshop 2017 Kyoto
    • 発表場所
      京都大学桂船井哲良記念講堂(京都府京都市)
    • 年月日
      2017-02-22 – 2017-02-23
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Cooperativity observed in a signal transduction-related protein2016

    • 著者名/発表者名
      池上貴久
    • 学会等名
      The 5th International Symposium on Drug Discovery and Design by NMR
    • 発表場所
      理研横浜交流棟(神奈川県横浜市鶴見区)
    • 年月日
      2016-08-29 – 2016-08-30
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Analysis of Artifacts Derived from Pulse Imperfections in CPMG Pulse Trains2016

    • 著者名/発表者名
      池上貴久
    • 学会等名
      The XXVIIth International Conference on Magnetic Resonance in Biological Systems
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-08-21 – 2016-08-26
    • 国際学会
  • [図書] 直積演算子(プロダクトオペレータ)の覚え方 in NMR 学会誌 72016

    • 著者名/発表者名
      長土居有隆、池上貴久
    • 総ページ数
      130(72-76)
    • 出版者
      日本核磁気共鳴学会

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公開日: 2018-01-16  

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