研究実績の概要 |
1.インフルエンザウイルスのヘマグルチニンとヒト・モノクローナル抗体のSurfitプログラムを用いた分子表面探索によるタンパク質間のドッキング計算を行い、100個のデコイを作成した。第2位のドッキングスコアのデコイが天然の複合体構造に最も近い複合体構造(root-mean-square deviation, rmsd < 3 Å)となり、良好な予測結果が得られた。2.1のドッキング計算から得られた100個のデコイをGeneralized Born/Surface Area (GB/SA)法から得られる抗原-抗体間の相互作用自由エネルギーにより再ランキングした。天然構造に最も近い構造が第2位となり、1と同程度の良好な結果が得られた。スコアの絶対値を比較したところ、Surfit scoreが1位から10位の間で縮退しているのに対して、GB/SA法から得られる抗原-抗体間の相互作用エネルギーは1位から3位までとそれ以外に分離されていた。従って、GB/SA法から得られる抗原-抗体間の相互作用エネルギーは、天然の構造と非天然の構造をより良く分離する良好な結果が得られた。3.2の再ランキングから得られた上位10個のデコイに対して水分子を陽に配した計算系を作成し、本研究で開発した分子動力学シミュレーションに基づいた抗原抗体複合体の解離経路に沿った積分法により結合自由エネルギーを求めることに成功した。
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