アミロイド線維は、タンパク質のミスフォールディングにより形成される凝集体の一種であり、数多くの疾患に関わる。アミロイド線維の持つ「伝播性」は、アミロイド線維の異常増殖、ひいては疾病の発症を担う重要な性質であるが、分子論的な実体は解明されていない。 そこで本研究では、インスリンとインスリン由来のペプチド断片について線維前駆中間体を捉え解析した。さらにインスリンについてはSAXSによる時分割測定を実施し、線維前駆中間体を経由したインスリン線維化プロセスを明らかにし、周囲の水分子にも着目するために、近赤外分光法を用いて核形成時の水の吸収スペクトルの変化観察も行った。
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