研究課題/領域番号 |
25440080
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小西 昭充 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50381877)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テロメア / DNA損傷反応 / 染色体末端融合 / 細胞癌化 / 細胞周期 / クロマチン |
研究実績の概要 |
染色体末端に存在するテロメアは染色体の恒常性維持に重要な役割を果たしており、テロメア機能の破綻によって起こる染色体末端融合は染色体の分裂・転座を誘発し、細胞癌化の大きな誘因となる。研究代表者らは、これまでにテロメア機能が破綻した染色体ではG1細胞周期特異的に染色体末端の融合が起こることを見出している(小西ら、2008年Genes & Dev誌)。しかし、現在のところ細胞周期特異的な染色体末端融合の分子メカニズムは不明である。本研究では、細胞癌化に結びつく染色体末端融合の制御分子機構を明らかにし、がん抑制のためのテロメア機能制御技術の基盤開発を目指している。 平成27年度までに、テロメア機能不全をきたした染色体末端において誘導されるDNA損傷反応が細胞周期によってどのように異なるかについて詳細な解析を行った。その結果、染色体末端融合の必須因子である53BP1のテロメア部位への集積が細胞周期によって異なった制御を受けていることを見出した。この53BP1分子はDNA損傷部位のクロマチン修飾を標的としてDNA損傷部に集積することから、機能不全テロメアにおけるクロマチン修飾の細胞周期依存的制御についてさらに検討した結果、テロメア領域クロマチンのユビキチン化状態が細胞周期による制御を受けていることを明らかにし、このユビキチン化の制御に関与する分子を同定した。これらの研究成果は、平成27年度に国際学会(3回)、国内学会(2回)において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テロメア機能破綻時の染色体末端融合に対して細胞周期特異的に制御される候補分子を同定することできた。また、その制御機能の概要を明らかにすることができた。研究成果については国際学会を含めた学術集会において報告を行った。以上から、本計画は当初の計画通りに進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画に含んでいなかったライブセルイメージングによる1細胞解析手法の構築を行った。この解析手法は時空間解像度の高いデータを得ることが可能であり、細胞周期の異なる各細胞ごとのテロメア機能不全への応答を詳細に解析することが可能となるため、現在、この技術を研究計画に取り込んで研究を進めている。このため研究計画を一部変更し研究期間の延長を行ったが、この変更により研究成果は当初の計画以上に進展する見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初研究計画に含んでいなかったが本研究への寄与が高いと考えられたライブセルイメージングによる1細胞解析手法の構築を行った。それに伴い研究計画に一部変更を加えたため研究期間の延長を行った。解析手法の構築は順調に進んでおり、変更後の研究計画は順調に進捗している。また、この研究計画に変更により、研究成果は当初の計画以上に進展する見込みである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はライブセルイメージングによる1細胞解析実験に必要となる顕微鏡備品、細胞培養用試薬、細胞培養用プラスチック器具等に使用する計画である。
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