研究課題
染色体末端に存在するテロメアは染色体の恒常性維持に重要な役割を果たしており、テロメア機能の破綻によって起こる染色体末端の融合は染色体の分裂・転座を誘発し、細胞癌化の大きな誘因となる。研究代表者らは、これまでにテロメア機能が破綻した染色体ではG1細胞周期特異的に染色体末端の融合が起こることを見出している(小西ら、2008年Genes & Dev誌)。しかし、現在のところ細胞周期特異的な染色体末端融合の分子メカニズムは不明であった。本研究では、細胞癌化に結びつく染色体末端融合の制御分子機構を明らかにし、癌抑制のためのテロメア機能制御技術の基盤開発を目指した。平成28年度までに、テロメア機能不全を来した染色体末端において誘導されるDNA損傷反応が細胞周期によってどのように異なるかについて詳細な解析を行った。その結果、テロメア機能の破綻によって誘導される染色体末端領域クロマチンのユビキチン化状態が細胞周期で異なっており、S/G2細胞周期でユビキチン化修飾が抑制される結果、クロマチンのユビキチン化を標的に集積する染色体末端融合の必須因子である53BP1のテロメア領域クロマチンへの集積が抑制されることを明らかにした。また、テロメア保護機能の中心的制御因子であるTRF2分子の生化学的な解析の結果、TRF2因子が直接テロメア領域クロマチンと結合することによって、染色体末端を安定化しているという新しい分子機構についても明らかにすることができた。これらの研究成果は、学術雑誌( 平成28年、小西ら、Journal of Biological Chemistry誌)に論文発表を行うと共に、国際学会(平成28年度1回(全研究期間を通して5回)、国内学会(平成28年度3回(全研究期間を通して9回))にて発表を行った。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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